映画雑記帳142「【探偵はBARにいる】感想」思い出エッセイ〔361〕

 【探偵はBARにいる】(大泉洋、松田龍平、小雪、西田敏行、石橋蓮司、高嶋政伸、松重豊、竹下景子、監督:橋本一)。ラストに持ってきたクライマックス・シーンで、耳元でドッカーンと打ち上げ花火をあげられたように目が覚めること請け合いです(なんて古臭い書き方をしてしまいましたが)。

大泉洋は東京に進出?して、更にメジャーとなって?数年、おそらく意図的にキャラクターを変えていないように見えます。と言って、素?の姿をテレビで何回も見ていないのですが。
こういう風に(?)の連発になってしまいます。私には彼の本当の姿、実像が分からないからです。

ちょっとダサくて、少々くどい。話していることがあまり面白くない。古臭いと言うのが適当でなければ古めかしい。茫洋という言葉を使うには、ピリピリと張りつめた神経が隠されているのを感じる。

主演したドラマで、ヒロインと結ばれそうになるのが(実は結末を見ていません)彼であることが、何か意外、そぐわない、という感じを持ってしまう。
バンセンと言うんですか、共演者とあれこれしゃべって、好き放題言っているのに、実は倍返されている。そうなるように持って行っているように思える。

いつだったか、各テレビ局の、半期に一回位ある、新番組出演者が出るバラエティ風バンセンで、主演の俳優が何かゲームのようなことをやる場面で、助演の人達にジャケットなど持ってもらうのですが、大泉が若い共演者に、えらそうに「~君、これ」とか上着を渡したら、若い共演者が受け取るなり険しい表情で落とす。踏みつけはしなかったけど、私は一瞬本気かと思いました。他の番組が喜んで、いそいそと?持ってあげている中で、ドキッとしてしまう、ドキッとさせる。彼の発案かどうか分かりませんが、こうやってそのシーンを今でも覚えているわけです。つまりそれだけ目立っていたということにもなるのですが。

こんなタイプの人がまずは北海道で非常に人気が出て、全国区になって、それから数年、もっと経っているのに、原型を崩さないのが不思議です。
実は映画【アフタースクール】で演技の確かさはよく分かっているのに。
あれから何年か経って、この映画の宣伝で出演した大泉は、相変わらずの調子でした。もし谷原章介が同じ調子でしゃべったら、どう感じるでしょう。

タイトルが一風変わっているけど、地味。映画の紹介もいつもと同じ調子でしゃべっている。内容については、詳しいことが分からないと言うか、売りと言うか、ポイントもつかめないまま。
別のテレビ番組で司会者が高齢者にもお勧めと言ったような気がする。それって万人向きっていうこと・・・?

実のところはどうなのか、面白いのかつまらないのか。中途半端な気持ちでいたら、突然観客動員数第一位とか。驚きました。やっぱり見なければならない。
事実、半分位の観客は高齢者で、微妙な笑いどころ(声を出して笑うのはちょっと気が引ける)でも遠慮なく高笑いしている方もいました。
私的な事情で、場所的、時間的に映画館に行くことに少々の困難がありましたが、近くのデパートで、お気に入りの小籠包を久しぶりに頂いたりして、気分が上向きになりました。


すっかり前置きが長くなってしまいました。映画です。ごく手短に紹介します。
舞台は北海道札幌、ススキノ。アジア最北端の大歓楽街ということです。

俺、探偵(大泉洋、名前が分からないので、「探偵」としておきます。The Detective とも言われているようなので)は、いつも、とあるBARにいて、仕事の依頼もそこの電話で受ける。
相棒と言うか、助手の高田(松田龍平)は、運転手役も務める。喧嘩は強いが、助けが欲しい時にいつも遅れて来る。
最近益々お父さんに似て来た松田龍平が、眼鏡をかけ、色白でクールな感じが別人のようです。

ある日「コンドウキョウコ」と名乗る女から仕事の依頼が入る。ある弁護士に会って、ある男が去年の某日どこにいたか聞いて来るようにという簡単な用件だった。

それより前、札幌の大物実業家、霧島敏夫(西田敏行)が少女を助けようとして、逆に襲われて殺される。
彼の未亡人、沙織(小雪)は、クラブのママとして辣腕を振っている。その美貌ぶりに探偵も心を動かされるが、実は彼女は悪女と言ってもいい人間で、早くも霧島にとって代わる勢力の後継者と婚約していた。

一方コンドウキョウコからの依頼があってから、探偵は何度も襲われ、殺されそうになる。雪の中に埋められたり、生きているのが不思議な位痛めつけられたりして。
高田は助けに来るもののいつも遅い。探偵が瀕死の状態の頃やっと現れる。それでも命は何とか助かるわけです。

襲う側に、笑いながら人を殺す、根っから残忍なヤクザに高嶋政伸。こんな高嶋、見たことがないという、気持ち悪いし、新たな?イメージを作ったとも言える、この辺でイメチェンを図った方がいいと考えたのかなと思わせられる程、今迄の高嶋とは違います。

ついでにと言うのは、失礼に当たるかも知れませんが、最近いい人の役でも時折見かける、石橋蓮司(ヤクザではなく、フィクサーというところのようですが)、背も高いし、容貌もスゴミのある松重豊が、札幌のヤクザの役で、さすがの貫禄を見せています。

どの辺まで書いていいか、迷うところですが、探偵も何度も殺されそうになるけど、襲った側の人間、例えば笑いながら人を殺すヤクザなど、敵方も殺される。その殺され方がまたマガマガしい。R指定はなかったと思いますが。

コンドウキョウコが、何年か前に放火事件で殺された、霧島敏夫の娘の名前であることが分かる。
探偵にはぼんやりと筋書きが見えて来る。

沙織の結婚式が近づいて、電話で「ダスティン・ホフマンしちゃおうかな」などと言うので、旧い世代の私はビックリしてしまいます。いくら何でも、あの映画、いつ作られたと思っているの。そう思って、探偵は沙織への思いはオクビにも出さないわけですから、すぐには意味が分からない、まず絶対に悟られないようにこういうセリフを言ったのかなと思ってみたりするわけですが。

そして、クライマックスへ。最初に書いたように、私はそのシーンで、文字通り目を覚ましました。やっと全てが分かったのです。

書きにくいのですが、この映画を見ていて、何度か眠くなりました。私だけだと思いますが。一度は物を取り落とし、反省して、しっかり目を開けました。
最初から派手なアクション、と言うか、探偵が殺されそうになる場面はド迫力があるし、悪者とは言え、あそこまでヒドイ殺し方をしなくても、という場面も続くし、シーンごとに緊張はあるのですが、私が鈍い所為か、どうしてこんな目に遭うのか、何故この男が殺されるのか見当がつかない。プロットが全く見えて来ないのです。ミステリーとしては成功ということになるのでしょうけど。

新しい登場人物がどのような役割なのかも分からない。いささか退屈しました。勿論伏線はあるのですが、ああそうだったのか、と分かるのは、本当に終わりに近づいてからのことです。
そして終盤、ドッカーンと全てが分かる一大見せ場。ちょっと遅過ぎるけど、「なるほどそうだったのか」。眠かったことも、一時これは感想を書けないかも知れないと思ったことも忘れて、面白かった、よくできた映画でした、ということになりました。

ただほんの少々書けば、霧島敏夫と沙織の関係が推測不可能。真相が見え始めて哀しみの色も見せる辺り、大泉洋の演技はうまいものですが、普段の探偵は、大泉の実像の?雰囲気に似ている。それから一見クール、シャープに見える高田は、実際にアクションも見せるし、喧嘩も強いが、普段は探偵と同じくノンベンダラリとしている。
高田でなくてもいいと思いますが、キビキビ、シャープに動く人間が一人いた方がいいのではないか。

更に原作は有名な連作だそうで、特にこの映画の原作となった作品は評判がいいと聞きました。実際に原作を読んでいる人も多いでしょうし、作り手の側にもそういう、つまり原作を知っている観客が多いのではという認識が若干あったのではという感じもしました。

でも元気の出る、特に北海道を元気にする映画と言えるように思います。
大泉洋は、意図してローカル色を残し、北海道への思い、愛情を基盤としていることを示しているのではないか。第二作の制作も決まったそうです。楽しみにしています。  《清水町ハナ》

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