思い出エッセイ〔330〕「昔の昭和:ちょっと思い出したこと2」

 主に家の中にいた虫の変遷?について思い出すままに書いてみたいと思います。カワイイ虫は殆ど登場しないことをお断りしておきます。ムシと聞いただけで、ゾクッと背筋が寒くなる方はパスなさってください。

猫がいるとゴキブリが出て来ないと言われます。
ネコ同居歴約25年です。確かに22,3年位は殆ど姿を見せませんでした。たまに現れると大騒ぎ。どこかのお宅から燻り出されたらしいフラフラしたのが天井に近い壁を這っていると、いつ落ちるか、最後の力を振り絞って、飛翔したりもするので、避難したり。
背の高い家族が新聞を丸めて叩き落としたりすると、頼り甲斐があるように見えたものです。

やはり猫のお蔭ではないかと思います。特に野良猫母子5匹に強引に住み着かれた頃は完璧でした。何しろ鳩まで狩って来るのもいるほど敏捷な連中ばかりですから、ゴキブリなど目についたら、私達が気がつく前に始末してしまっていたものと思われます。

ここ2年ほど、特に夏場、明らかに元気なのが時々姿を見せるようになりました。
ゴキブリと言うのは、殺虫剤などをかけると、かけた人間の方へ向って来るように思うのですが、肝心の猫は、チラと見るだけで知らん顔をしていたり、やはり寄る年波と共に狩猟本能も失うのかしらと思ったりしましたが。

今のところは姿を現しませんが、最後のペット、ポロンが去年の冬、ボウヤが夏に去って、今年の夏場と言うか、暖かくなってからが勝負と思っています。

長年集合住宅に住んでいるので、家の中で虫の姿を見ることはあまりありません。
蠅はたまに入って来ますが、すぐに駆除。蚊に至っては、あのプーンという羽音を家の中で聞いた記憶は、何十年も(と言うと言い過ぎかも。長く)ありません。
蚊帳(カヤ)は勿論、蚊取り線香を使ったことも記憶にないほどです。

ハエもカも私が子供の頃は家の中に入って来るのが当たり前でした。
蠅叩きや蝿帳のことは以前ちょっと書きましたが、夜には蚊帳を吊り、蚊取り線香を焚きました。
今はカエとハと言ってしまうほど少なくとも家の中では見ませんし、昔は魚屋さんなどには、蠅取りリボンなどに結構ついていたものですが、今は食料品を扱うお店などでも見ることはありませんから、衛生状態が昔と比較にならないほどよくなっているのでしょう。

一つ思い出しました。一昨年、台所にコバエが発生しました。こんなことは初めてで、原因をあれこれ考えてみて、バナナが健康食、或いはダイエットにいいと聞いて、長く食べていなかったのを、時々買うようになって、バナナの皮についているのを発見したのが最初だと思いました。
ハエが湧くとはよく言ったもので、突然ある日えっと思うわけですが、レモンを絞ったカスにもついていて、酸っぱいものが好きらしいと分かって、試しに小さな壜に少しお酢を入れてみたら、あっと言う間に・・・処理が気持ち悪くて困りました。

友人に話したら、それはショウジョウバエよ、小学校で観察日記つけたじゃない(私は経験ないなあ)、ゴミの始末の仕方ですぐいなくなるわよ、と言われ、その通りそれ以後発生していません。

お米につくコクゾウムシも長くご無沙汰です。ポリなどの密閉容器も役立っているのでしょう。
私が子供の頃は、お米を買って、ちょっと日が経つと、必ずと言っていい位コクゾウムシが発生して、チョンチョンつまんで取り出したものですが、すっかり駆除するのは難しくて、炊いたご飯が段々虫臭くなってくるのがホントにいやでした。

黒い小さな虫で、形がちょっとカブト虫に似ているので、そんなに嫌悪感は持たないのですが、多分卵がお米に産み付けられるのか、お米がゾロッと連なったものも取り出すのですが、これは気持ち悪いし、確か幼虫は蛆虫状じゃなかったかしら。

虫ではありませんが、昔はどの家にも鼠がいました。天井裏に潜んでいて、夜になると走り回るので、ネズミの運動会などと言ったものですが、駆除はなかなか難しくて、精々ネズミ取りを仕掛けたり、時として、ネコイラズという名前の毒入り団子などを置いたりするのですが、これは人間も死んでしまう猛毒で、小さい子供のいる家などはよほど困らないと使わなかったと思います。
今はすぐ分かるように赤かピンクの色をしているそうですが、私の子供の頃はそんな分かりやすい色はついていませんでした。

集合住宅のお蔭か、ネズミの運動会ともずっと以前に縁がなくなりました。
割りに最近、英国の官邸の周囲に鼠が発生しているというニュースで、大きな鼠が走り回っている映像を見ましたが、なかなか人間と縁が切れない動物のようです。

昔は買ったお米の中にネズミの糞が入っていることがよくあって、お米をとぐ時に注意するのですが、たまに炊いたご飯に入っていることがあります。
全部捨てるのはもったいないので、一部捨てたと書いたことがありますが、それがショッキングと考えられる方も多いようで、「ご飯、ネズミの糞」という検索を結構頂きます(でもこれって、内容が分かっているということですよね。リピーターがおられるということかしら)。

猫には蚤(ノミ)がつきもので、と言って、完全な家猫だったポロンとボウヤにはごく短い期間ついただけだったのですが、外に出て行く猫は、周囲の環境にも拠るのでしょうが、ノミがついて、困ったこともあります。ただ人を刺すことはなかったように思います。

ポロン達にノミがついて、すぐにいなくなったことと、何故かこれも短期間、西向きのバルコニーに蟻(アリ)が発生して、一度は家の中にも入って来たりしたのが、すぐ駆除したのと時期が一致していることが関係あるような気がしているのですが、何の根拠も得られていないので、ちょっと書いてみたということに留めます。

コンクリートで固められた場所が多いし、特に気をつけて見ることもしていないので、アリを見ることも稀になって来ましたが、昔は庭に必ず巣があったし、家の中に入って来ることもあって、行列の先には、ちょっとした甘い物がありました。
アリは益虫ということで、駆除のために薬を使ったりすることは、一般家庭ではあまりなかったと思います。と言うか、今のような簡単に使える殺虫剤というのがありませんでした。

猫に鰹節と言いますが、我が家は何故か長年かつお節を猫にやったことがなくて、ポロンとボウヤが年の所為か、エサに注文をつけるようになって、なかなかこれなら好きというのがなくなって来た時、何気なくカツオ節をやったら、スゴイ勢いで食べ、それからずっと、と言っても、一年余のことでしょうか、毎日やるようになりました。

カツオ節が切れてしまうこともあり、明日買えばいいと私は思うのですが、家族はわざわざコンビニに買いに行きます。
一度など、ビールと一緒に買ったら、「ビールにカツオ節の醤油かけはおいしいですよね」とご主人に言われたとか。

ところがカツオ節のようなヒラヒラしたものは食べつけていないので、どうしてもあちこちにこぼし、細かく砕けてしまいますから、掃除も行き届かない所為か、ヘンな虫が出て来るようになりました。
カツオブシムシだよ、と家族が平然として言います。カツオブシムシ!!まさか。何よりも衣類につく虫として知られています。

そして、何十年もムシがついたことのない衣類の一部にムシがついていることを発見するのですが、それは殆ど着なかった、家族が気に入らなかったのが主な理由ですが、古い洋服で、ウチで発生したカツオブシムシによるものではないかも知れず、処分が促されているものと考えることにしました。
それにしても許すまじきはカツオブシムシ。徹底的に駆除と、薫煙し、見つけ次第、殺虫剤をかけても、あまり効かないように見えたのですが、猫が二匹とも死んでしまってから、姿を見なくなりました。
猫が死ぬと、ノミがパアッと体から離れるという話を聞いたことがありますが、まさに寄生の(と言ってもウチのカツオブシムシは間接寄生とでも言ったらいいのかも知れませんが)一タイプということでしょうか。

ところが、それから暫く経って、トイレに実に気持ち悪いムシが時々出るようになりました。毛のない小さい毛虫、蛆のような形ですが、ムカデのように足状のものがたくさんあり、黒い色なのに、ひっくり返ると白いのが一層気持ちが悪い。
家族はこれまたカツオブシムシの幼虫だと言います。
でも図鑑を見ても、腹部が白くは描かれていない。それともう一つの薄気味悪い特徴は、尻尾の方が細くなっていること。

幼虫に間違いないと家族は断言し、トイレにだけ、マットの下から出て来るようで、おそらく洗った後も卵が残るのではと思って、防虫剤を入れてみたところ、てきめん。結構長く見ていません。

集合住宅も長く住むと、それぞれの家庭の特徴が出現する虫の種類にも影響するということでしょうか。

バルコニーには揚羽蝶なども時々飛んで来ますし、特に赤トンボは季節になると見かけます。
鳥インフルの前は、毎年必ず訪れるメジロもいたし、他の野鳥も来たけど、最初にニュースを見た時、エサに結びつくものを一切置かないことにしました。
時々羽を休める野鳥はいても、すぐ飛び去る。雀が少なくなったと聞いているけど、確かにたまにしか来ない。それも痩せている。

野鳥についての基準がはっきり示されていないように思っていたら、白鳥まで処分されているという記事があり、本当にやり切れない寂しいことです。
いつの日か、ふとバルコニーを見たら、白鳥とか丹頂鶴がいた、なんていうことを夢見ていたけど。

この辺で止めればいいのですけど、‘昔の昭和’の虫を語るには、戦後の虫事情?を語らずして終わるわけにはいきません。
上記だけでもウンザリの方はパスなさってください。

シラミ(虱)の発生が見られる所があるというニュースを割りに最近聞きました。まさかという思いでした。1955年に絶滅が報告されているということです(Wikipedia)。

終戦直後の状況を伝える映像などで、日本人がズラッと並んで、占領軍の兵隊に背中から噴霧器でDDTを噴霧され、髪の毛まで真っ白になっている姿をご覧になったことがあるかも知れません。

第二次大戦後シラミが大発生して、その媒介で発疹チフスという致死率の高い伝染病が流行ったためにシラミ退治の措置です。
実は私は、敗戦の年に疎開地から東京に帰って、約3年の間、シラミがついたことは一回もありませんでした。

こんなことを言うと、申し訳ないのですが、疎開地の街中で、初めてシラミという虫を見ました。各家庭で頻繁にお風呂をわかすことが難しくなってから、銭湯で移ったり、人を介してもらったりするものです。
衣シラミと毛シラミがいて、前者は白く、後者は黒いのですが、戦中は発疹チフスなどという病名を聞いたことは全くありませんでした。

空襲に遭って、農家に置いてもらうようになってから、シラミはいなくなって、ノミが結構いました。
ノミにはそんなに抵抗感はありません。猫ノミなどを知っているからかも知れませんが。高く跳ぶので、捕まえにくいのですが、何かの本で、ノミは自分の体の40倍前方に跳ぶということを読んで(事実かどうか分かりませんが)、大体見当をつけると、捕まえられる確率が結構高かったことを覚えています。
前後が分からないので、一度跳ぶのを見るわけです。つまらないことを書きました。

いずれにしても敗戦直後から発疹チフスと、蚊が媒介する日本脳炎という怖い病気が流行って、戦争と疫病はつきもの、それも敗戦国にという事実を思い知ったわけです。

台所など水気の多い所には、ナメクジが時々出て来ました。塩をかけると溶けてしまうというので、外に出して、塩をかけるのですが、最後まで見届けたことはありません。

それから夜になると、灯に無数の虫が飛んで来ましたが、名前を確かめたことはありません。庭にもたくさんの虫が数え切れないほどいたし、今と比べると、身近に比較にならないほどたくさんの虫がいましたね。今のようにコワイとか気持ち悪いと思うものは殆どいませんでした。

真夜中パソコンを打っていると、その明かりに時折ごく小さな虫が飛んで来て、ディスプレイをウロウロ歩き回るので、マウスでポイントして捕まえようなどと、一瞬本気で思ってしまうことはありませんか。

農村にいた様々な虫というか生物についても書きたいと思いましたが、長くなったのでまたの機会にします。
ヘンな虫のことばかり書いて申し訳ありませんでした。
ただ一つだけ言わせてください。ゴキブリは、戦中、戦後長く、一度も見たことがなかったということです。

中学二年の時関西に越して、ある日友達の家に泊まりに行って、勉強したのですが、その時深夜、台所にそれこそギッシリと見たこともない虫が出て来て、「あれ、何」と絶叫したことを覚えています。
「アブラムシ」、友達は冷静に言い、何もしないからダイジョブや、と続けました。

オンボロ県営住宅の我が家では一度も見たことはありません。
それ以来次に見たのはいつだったか。結婚してからで、いつとはっきり思い出せないのですが、アブラムシと呼んでいて、ゴキブリが正式の?名称であることを知ったのも後のことです。
一回に精々一匹、二匹しか見たことがなく(一匹見れば、その何十倍もいるということを聞いたことがありますが)、家の中に出る虫では一番嫌いと言うか、とにかく飛ぶからコワイ。

でも3億年も前から営々と生きてきたわけですから、やはりそれなりの存在感を持っていると考えざるを得ない。
私もこの年でゴキブリ如きにオロオロしてたらみっともないので、今度出て来たら、君はポロンとボウヤに会ったことがある?とでも聞いてやりましょうか。いい話は一つもなくて、失礼いたしました。  《清水町ハナ》

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