時事雑記帳33「Nスペ:プーチンのロシア4 プーチンの子どもたち」思い出エッセイ〔174〕

 「NHKスペシャル:揺れる大国 プーチンのロシア4 プーチンの子どもたち~復活する“軍事大国”~」(3月23日22時)。新聞の番組紹介蘭は(といつも書くことになってしまいましたが)、副題の形ではなく、タイトルがズラズラと続いて「復活を遂げるロシア軍 若き愛国者を養成せよ 密着軍学校」とあります。

ロシア南部の軍人養成学校、カデットで、夜明け前、寝ている生徒が非常召集訓練で叩き起こされ、校庭に集合するシーンから始まります。

この軍人養成学校、カデットは、今、政府の資金で次々と新設されている。
プーチンは、軍の再建を絶対条件として、軍費を5倍にした。

イギリス空軍に急接近する、ロシアの長距離爆撃機、ツポレフ。
冷戦時代さながらである。
グルジア紛争時は、2万5千の軍隊が数日でグルジアを制圧した。

カデットとは、中高一貫の軍人養成学校で、生徒は、12歳から17歳の少年少女、全寮制である。
午前中は一般課目、午後は軍事教練を受ける。

本物の武器を使った授業が12歳のクラスから課せられ、ロシア製自動小銃、カラシニコフAK47を分解し、その組み立てを20秒で済ませなければならない。

優秀な子ども達をどのように集めるか。
8倍の競争率で、面接は厳しくなる一方である。

12月、最年長の17歳のクラスは進路を決めなければならない。
マキシム・ポポフ(P君)は、軍の大学への進学を考えている。

プーチンは、軍事予算の4割を兵器製造に向けるため、軍需産業の育成を(行っている)。

プーチンの時代、軍との繋がりが将来を決める(ようなものである)。
アレクサンドル・マスレコフ(M君)は、まだ基本的な歩行訓練も教官から直される。
P君が付きっ切りで世話を焼く。カデットの生活の基本を教える。

カデットの生徒の半数以上が難関の軍の大学に合格する。
ロシアには、100校を超えるカデットがある。

プーチンは、ソ連崩壊以後、途絶えていた、軍の年末パレードを復活させる。

戦争が泥沼化する中、軍の内部でイジメが横行。国民の軍に対する(支持は)一気に落ち込む。

莫大なオイル・マネーを、プーチンは8年間で5倍以上に増やす。
大統領に就任してすぐ、プーチンは、「憂国プログラム2001」をつくり、愛国心を一番大事なことと(位置づけ)、カデットが次々に新設される。

生徒が目的とする人間像は、ナポレオンの侵攻を防いだ、コサック軍人、ストベイ・プラトフ将軍である。

帝政時代、コサックは、一たび紛争が起きると、最前線で戦った。
「愛国心は、コサックの永遠の特性だ」とプーチンは言う。
国境近くの30校のカデットがコサックの精神を柱としている。

北京オリンピックの日、初めて国境を越えてグルジア国内に侵攻した。
ロシア軍の勝利に国民は歓喜する。
グルジアの最前線に配備された、地上軍第58軍を、新たな軍のモデルとプーチンは位置づける。
志願兵を重視し、行く行くはこうした精鋭で軍を固めたいとプーチンは思っている。

M君は休暇をとるが、伯父の家で過ごす。両親共に軍人で戦地にいて、寂しい少年時代を過ごしてきた。
クリスマス・プレゼントのお金でギターを買う。カデットの精神を歌にして、後輩に残そうと考えているからである。

プーチンが呼び起こした愛国心は危うさも生んでいる。
ロシア人以外を排除するグループが異民族に暴力行為に及び、死者も出ている。

年が明けた一月、M君の気がかりは、親友のP君が戻って来ず、電話をかけても連絡がとれないことである。
実家を訪ねると、P君は部屋にこもっている。
軍の大学に進む気持ちを失っていた。

インターネットで軍の、負の側面を表す場面を見て、将来に対する気持ちを失ってしまったのだ。
母親は失業し、軍関係が最も確実な就職先と(言っているが)。

軍を告発する声は後を絶たない。
息子が集団暴行で死んだのに、何の説明もないという(親もいる)。
軍の改革を願う母の会が生まれ、プーチンの改革の方向を見定めようとする。

P君が戻って来て、親友に心のうちを明かす。
行進をするM君の横にP君はいない。図書館にいた。

一月、校長は生徒を集める。オバマ大統領の就任式の映像を見せる。
祖国を強く思うことが第一であると説く。

M君は戦略ミサイル軍の将校になる道を選ぶことを決める。

二月下旬、カデットは一年で最も重要な「宣誓式」の日を迎える。
親の前で、M君は、軍人の道に進むこと(13カ条)を読み上げる。

六日後、金融危機にも拘わらず、軍の予算を増やすと、プーチンは表明する。

M君は、戦略ミサイル軍の将校になるために必要な物理などを学ぶため、特別に家庭教師をつけてもらう。

カラットが生んだ、プーチンの子どもたち。その愛国心は危うさを抱えている。
(以上、番組紹介)。


「プーチンのロシア」というタイトルにしては、第二回、第三回は、プーチンの姿があまり見えない内容でしたが、今回は、番組中でもプーチンと言う名前が連呼される感じで、金融危機をものともせず、軍事費は増やし続け、未来の職業軍人を、12歳という年頃から訓練し、愛国心を煽り立てる、プーチンの鉄の意志は確かに伝わって来ます。

今の日本とはかけ離れたプーチンのロシアの姿です。
イギリス空軍機に襲いかからんばかりの、ロシアの長距離爆撃機、ツポレフのシーンを見ていると、同じように挑発されたら、自衛隊機はどう対応するのだろうと馬鹿みたいなことをつい思ってしまいます。

ある新聞で、この番組を紹介していて、カデットの校長の生徒に対する言葉をそのまま紹介し、「校長の指導は、ツッコミどころにあふれていた」と結んでいるのには、いささか呆れました。

確かに、校長の言葉はある意味馬鹿げているし、日本人の考え方とかけ離れている。
取材向けとか、適当にこんなことを話せばいいかと思っているとも考えられますが、要は、プーチンとロシアが軍事大国への道を突っ走っているのですから、こういう発言だって、成り立つわけです。価値観の相違とかのレベルでもない。ツッコミどころ、とはどういうスタンスで言っているのか、この番組の本筋やロシアが既に軍事大国であることとどういう関係があるのか・・・

「プーチンのロシア」と題した四回のシリーズで、一番よく出来ていて、関心も持て、しかも金融危機という現況とも結びついて、ニュース性、情報性もあったのは、第一回の「プーチンのリスト」でした。但し、私はリストに載っている会社名には一切関心がありませんが。  《清水町ハナ》

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