時事雑記帳27「Nスペ「沸騰都市:サンパウロ“富豪は空を飛ぶ”」思い出エッセイ〔161〕

 「NHKスペシャル:沸騰都市サンパウロ」(2月1日21時)。新聞の番組紹介のタイトルには、‘大渋滞をヘリで行く’、‘大地が生んだ富’という副題があります。

‘新興国’ブラジルのサンパウロ。
‘金融危機’は世界を奈落の底に落としたが、今回の沸騰都市、ブラジルのサンパウロでは、エネルギーは逆にそのボルテージを増している。

サンパウロでは、防弾車が売れているが、一番売れているのはトヨタのカローラである。
しかし、本当の富豪は空を飛んでいる。

ブラジルは、大統領の大号令の下、一丸となって試練に立ち向かってきた。
大統領は言う。
「他がのんびりしている時、我々は蟻のように働いた」

サトウキビの大農場主Bさんは、ヘリコプターを2機持っているが、買い替えを考えている。3億5千万円の買物である。

ビルの屋上、サンパウロの高層マンションの殆どにはヘリポートがある。

地上は何キロもの渋滞である。渋滞はサンパウロの深刻な社会問題である。
貧困から抜け出すと共に、車が一気に増え、道路などが追いついていない。

サンパウロは、人口1700万人。ブラジル経済の中心地。金融危機のさ中でも成長率7%台を維持している。

会員制のヘリコプター会社は、毎月会員が25%ずつ増えている。
5人でシェアすれば、1億5千万円で済む。

ブラジル経済は、金融危機の直撃を受け、先進国は流し込んだマネーを一斉に引き揚げた。

ルーラ大統領は、何度もの経済危機を乗り越えて来た。
大統領の強気発言は、世界最強の農業力に支えられている。

大農場主、Bさんは言う。
「金融危機の中にあっても、前途は明るい。痛くも痒くもない」
穀物、大豆、果物、他で、世界有数の生産国であり、まだ日本の国土の5倍位の未農業地がある。

Bさんは、サトウキビから作るエタノールで利益を上げた。
大都市、ヒベロンプレートでは、30のエタノール工場があり、住民の多くはエタノール工業に従事している。

貧しいイタリア系でも大成功を収めている人もいる。
工場の視察に出かけるRさんは、17の工場を持っている。
濃度99.9パーセントのアルコールである、エタノールは、味はひどいけれど(実際に飲んで見せる)、サトウキビはトウモロコシに比べて安定している。

アメリカとブラジルは、バイオ・エタノールの二大生産国であるが、トウモロコシは、食料、飼料にも使われるため、(供給が安定していない)。

エタノールは、石油と異なり、仕事を呼び寄せる、人も呼び寄せる。

1975年の「国家アルコール計画」が軸となっている。
石油高騰ですさまじいインフレに悩まされ、世界が見向きもしなかった時、エタノール産業を始めた。

エタノールもあるため、世界が石油の高騰に(振り廻されている時も)ガソリンの価格が低く抑えられている。

日系二世のA(新垣)さんもエタノールで財を成した人である。
ブラジルでサトウキビに取り組んだのは日系人である。

Aさんは、二つの工場を持ち、売り上げは100億円を超えている。
銀行にとっても、Aさんの堅実性とエタノールは魅力である。

Aさんは、小学校卒業と同時に働き始め、色々な職業を経た後、「国家アルコール計画」に従って、エタノール産業に飛び込んだ。

エコ・ブームという時代の追い風も吹いた。
Aさんの工場は24時間稼動している。金融危機の影響で一部休業したこともある。
彼の工場では2千人働いており、国全体では300万人がエタノール産業に従事している。

Aさんの工場では、工場労働者が(楽しげに)ボーナスの使い道を話し合っている。
Aさんの工場労働者に対する謙虚な態度も(印象的である)。

大農場主Bさんはブラジリアに向かう。
エタノール計画が始まった時、世界中から見学者が来たが、うまく行くはずがない、ブラジル人の浅知恵だなどと言われた。

ブラジリアでの会議で、ルーラ大統領は、楽観的な考え方を語った。

サンパウロでは、週末20箇所以上の所で、自動車フェアが開かれる。
2008年、自動車販売は、20%以上伸びるはずだったが、10月以降落ち込んでいる。
政府は貸し出しなどを行って、(購入を奨励している)。

パン職人のSさんは、23回目の結婚記念に、72万円の中古車を60回払いで購入した。
ひと月のローン返済額は2万3千円、月給は7万円である。収入は少しずつ上がっている。
23年前は、結婚パーティーのコーヒー代も払えなかった。
結婚23年目、喜びと不安がいっぱいのドライブに出発する。

ヘリコプター・タクシーもある。
「今日のフライトは4回目」とパイロットは語る。
最初の客は経営コンサルタント。商談が遅れたので、次の仕事に間に合わせるために利用。
間に合った。1分早く着いた。

金融危機後もサンパウロの富豪の忙しさは変わらない。
Bさんに緊急連絡が入る。
サウジアラビアがブラジルに投資したいと言っているという。

Bさんは、何故中東がエタノールに興味を持つのか半信半疑である。
クウェート、サウジアラビア、バーレーンなどが、エタノールに関心を持っているという。石油にエタノールを混ぜれば、石油の寿命が長引くからだという。

日系のA(アラガキ)さんにも500億円の投資話が持ち込まれる(アメリカからだと思いましたが、聞き逃しました(筆者))。

短期的な投資から長期的な投資へとあり方が変わって来ている。
環境を重視したエタノール・ビジネスに世界中の関心が集まっている。

101を超える(ブラジリアでの会議の)参加国の中でアフリカが最も目だった。
サトウキビ用になる農地を多く持ち、将来的に輸出も望める(と考えている)。

ブラジルがこの会議を開催した理由は、ブラジルが世界の主導権を握ることを考えているからである。
ブラジルは、世界の貧しい国にノウハウを伝える用意があるとルーラ大統領は述べる。

Bさんは、アフリカの参加者と話し合いを始める。
世界の価値観が変わる革命であると彼は考える。
ブラジルとアフリカがエタノールで結ばれ、新たな関係を(生む)。

日系のアラガキさんの所にも嬉しいニュースが来る。EUが、ブラジルから輸入するエタノールを6%拡大するという。

結婚記念日に車を買ったSさん夫妻は、運転技術はまだまだ。渋滞に助けられている。
いつ終わるか分からない渋滞、それを楽しんでいる。

失業率は20%から7%になり、銀行は、(金融危機の中でも)3.2パーセントの経済成長率を予測し、大統領は4%と予測している。

ブラジルには小型車製造というもう一つの工業がある。アジア、特にシンガポールを(売り込み先)として狙っている。(以上、番組紹介。メモのとり間違いがありましたら、お許しください)


「沸騰都市」と呼ばれても、金融危機が大きく影響し、或いは影を落としている中、暗さが感じられない内容でした。
エタノールという、石油に代わる、或いは競合できる、強い切り札が主役のためとも考えられますし、嘗て経済破綻に近い状態から立ち上がり、現在では新興国と呼ばれるブラジルの努力の結実でもあるように思えます。

また、持ち前の明るい楽天的な国民性も味方しているでしょう。
何よりも、食糧自給率などという言葉は関係ない、まだ未使用の、日本の国土の五倍もの農地を有している大農業国の余裕かも知れません。

文にすると、たった一行の紹介でしたが、サトウキビ生産に関わったのは、日系ブラジル人だったということにも注目したいと思います。

また、中東が、エタノールを石油と混ぜるという利用目的のために買い付けに乗り出して来るという下りには、その目のつけどころ、迅速な行動に、彼らは結局この金融危機の勝者になるのではという予感を感じました。

ブラジルでは、サトウキビがエタノールの原料ですから、食料不足の直接原因にはならないのですが、アメリカではトウモロコシが使われ、それが、世界的な食料不足に繋がったことは、NHKスペシャルでも取り上げられたテーマです。

トウモロコシ、サトウキビ=エタノール原料ということは、確定した事実のようであり、食糧問題をあらためて、視点を変えて考え直す必要性も自ずと導き出されているようです。

今日本で、職を失っている、ブラジルの日系の方の苦境に、この、祖国の例外的な活況(この番組からだけ結論づけることはできないかも知れませんが)を結びつけることはできないかと素人考えを持ちました。

ナレーター、宮迫博之。前回の「ヨハネスブルク」では、速めの、クールながら勢いのあるナレーションで、今回は、割りにゆっくり、ゆったりとした語り口で、南米の大国の雰囲気に合っている、すぐれたナレーションだと思いました。  《清水町ハナ》

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