時事雑記帳25「Nスペ「世界カイテンズシ戦争」」思い出エッセイ〔155〕

 「NHKスペシャル:世界カイテンズシ戦争」(1月5日、22時)。副題、“激突!寿司VS欧風スシ”“驚きのザリガニロール”“ネタ争奪戦”。NHKスペシャル・ホームページのタイトルは「世界“カイテンズシ”戦争-寿司vs Sushi-」。

香港で、イギリスで、ドバイで、スシが回っている。
日本のスシが大ブームで、世界に1万軒を越すスシ屋がある。

外国の子供のお客が「流れて来るのがいい」と言う。
ブームを巻き起こしているのはチェーン店。ヨーロッパや中東で。
外国のスシは、ネタも形も色々。色取りが鮮やか、醤油の代わりにソースをかけたりする。日本と全く違う。

迎え撃つのは、日本の大手チェーン、「元気寿司」。世界ナンバーワンの店数を誇り、質の高さと安さで勝負する。

海外生まれのSushiか、日本生まれの寿司か・・・
ドバイでは二つのスシが激突。
番組はどっちがスシのスタンダードとなるか、その激しい攻防を追う。

回転寿司の激戦地、香港では、元々、生の魚を食べる習慣がなかったところに、200軒の店が並び、リードして来たのは、日本の「Genki Sushi」。
「Genki」は、本格的な握りを供し、(香港ではあまり好まれなかった)サバのような臭いの強い魚もよく売れた。

「Genki」は、15年前から、香港、インドネシア、ハワイ、他の各地に250軒の店を展開。
日本は飽和状態とみて、5千億円規模の市場である世界に進出した。

スシは原材料費が高く、利益を得られるかは、仕入れ値次第。数十銭単位で値を抑える。
例えば、ベトナム産のイカを、月に50万買うことを条件に1枚13円に値下げすることを要求。1円以下の単位で値下げ交渉をする。

マグロ、キハダマグロは、大量に買って、解体してから、どこに使うか、仕分ける。
使う用途を地域によっても変える。

「元気寿司」がまだ進出していないヨーロッパでも、スシはブームで、イギリスには60店ある。
お客は「スシは高いというイメージがあるけれども、回転スシは安くて、いい」と語る。

サイモン・ウッドロフ(彼はそれまでショー・ビジネスに関わってきた)が仕掛け人である。
彼は、10年前に「Yo!Sushi」を設立。
握りのロボットを目立つ所に置く、照明なども工夫。
“More than Sushi”がモットーである。

スシにはあまり酢を効かせず、マヨネーズを手に塗って巻いたりもする。
生魚が苦手な人も多いので、ネタは煮たり、味付けしたりもする。
黒い色が好まれないので、海苔を外側に使わないで、中に巻き込む。

「日本のスシはとてもシンプル。欧米ではバラエティが求められる。味も大事。Roll(巻物)は、ファースト・サンドイッチである」

「Yo!」は、ヨーロッパに54店舗を展開している。
「Yo!」と「元気」が共に狙うのは、中東、その中心地、ドバイである。

“金融危機”以降も(この枕詞をつけないと、現況が分からないという現状ですが:筆者)、ドバイは、世界戦略の試金石である。
「元気」が出店したいと思う所には「Yo!」がある(現在4店舗)。

生の魚を食べない所では、エビフライやRollに人気がある。

「元気」の廣田社長は、「Yo!」に入ってみる。
値段は一個、200円前後と手ごろ。しかし、味も見た目も馴染めない。

ドバイへの足がかりに、クウェートに店を出してみたが、思うように売り上げが伸びない。「Yo!」のような賑わいはない。

廣田は、ネタの鮮度などに問題があるのではと思ったが、教えたことは守っている。
課題は値段である。ネタの輸送コストが大きく、日本のコースの3倍である。
握りズシを食べてもらえず、サイド・メニューの注文が70%を占めることも問題である。

世界で巻き上がっている、回転寿司の大ブームのために、地球規模で魚の奪い合いが行われ、高値が続いている。

価格の高騰は「元気」に大きな影響を与えている。例えば、イクラの価格は2倍になっている。今のままだと数千万円の赤字が出る。

イクラと合わせる胡瓜を多くして、イクラを減らすと、味が大きく変わる。

生産品の4割を生み出すのは中国である。現地の会社は苦しい闘いを強いられている。
大連で働く佐々木は「赤貝の佐々木」と呼ばれているが、中国には赤貝を食べる習慣がないので、無尽蔵に眠っていると聞き、乗り込んで、扱い方を教える。

‘エンガワ’をヒラメではなく、アブラカレイから取る。身は柔らか過ぎて使えない。
それまで使っていたオヒョウは90%が取り尽され、カラスガレイは僅か5年で底をついた。
3代目、アブラガレイも、いつ底をつくか。

ドーボー(多宝)という日本で知られていない魚が注目されている。
この魚からは、よく脂ののったエンガワがとれる。
すぐ真似をされるので、急ピッチで(ドーボーを)準備する。

「元気寿司」は魚の仕入れに苦しんでいる。

毎年、(ネタの材料の)生産量を増やし、殆どが日本向けである。しかし、その量が急速に減り、いい値段をつけてくれるヨーロッパやアメリカに行ってしまう。

「Yo!」がまた1店舗開店。計画通りに行けば、「Yo!」の人気は、世界現象になると幹部は語る。

しかし仕入れ価格の高騰は、「Yo!」にとっても悩みのタネで、既に2倍になっている。
中国で新しいネタとなるものを仕入れるが、それはザリガニである。日本のスシでは決して使われることはない。

農家はこぞって、(元々水田にいた)ザリガニの養殖に精を出す。
水田を養殖池に変え、東京ドーム、30個分の敷地で養殖を始めた者もいる。

「Yo!」は茹でたザリガニを(細かくして)コリアンダーやマヨネーズで味付けをし、新たなRollのネタとしている。
今後も新たな食材を仕入れる予定である。

皆、日本人と同じようにスシなしではいられなくなっていると、創始者のウッドロフは語る。

甘エビの仕入れが難しくなって来ている。課題は安定した仕入れができるかどうかである。
ネタのブロークンを何かに使えないかと考えたりもする。

「元気」は、世界展開のために、大ヒットするネタが欲しい。
(赤貝の)佐々木氏は、これまでに考えられなかったネタを狙う。高級アワビの稚魚(稚貝?)である。
(中国の)アワビの養殖量は80倍になり、価格は半値になる。
アワビは日本だけでなく、欧米や中国の食欲を満たそうとしている。

「元気」の社員が佐々木を訪ね、高級アワビを試食する。
いち早く、世界戦略の柱にできる(できそうな)ネタがこのアワビである。

「元気」の廣田会長は、大きな決断をする。中国への進出である。
今年は杭州に進出する予定で、次いで、アジア市場、ヨーロッパも狙う(つもりである)。

ネタを確保できるかが、最大の課題だが、廣田は楽観している。
日本の回転寿司が世界で大ブームを起こし、魚を奪い合いながら、激しい攻防を(繰り返している)。

将来、私達は、どんな寿司を食べているだろうか。 (以上、番組紹介)


この番組を見て、びっくりしたり、呆れたり、感心したり・・・それ以上の感想があまり浮かばなかったということは、私が回転寿司事情、新しいネタ、外国のSushi事情について、よく知らないからだと思います。

アブラガレイでも驚いているのに、ドーボーとやらのエンガワとは。しかもそれは、正統エンガワ、ヒラメから数えて、5代目だということは、もう、固有名詞、エンガワではなく、単にヒラメのエンガワに似た、ある魚の鰭(?)に過ぎないということになるように思われます。

我が家は、以前は、自宅で握り鮨をよく作りました。ネタの買い出しに行って、ウチでシャリを握り、各自好きなネタをのせて食べるのです。
タップリ食べられるし、家族それぞれ好きなネタも違うので、このやり方は合理的で結構好評でした。

しかし、次第に色々なネタを揃えることが難しくなり、何より、出前を取る方が安いので、回数が少なくなりました。
一番痛手だったことは、私は、実は、貝類や甲殻類、それにウニ、イクラなどの特殊なネタしか食べないところに、贔屓にしていた貝屋さんが店を畳んでしまったことです。

少し前、事情があって、うちで夕食を作る時間がなく、私一人の夕食に時々スーパーの握りを買っていた時期があります。
ネタを、貝などに変えてくれるし、シャリも思ったより美味しいし、何より安い。

その時、驚いたのが、私の知らない貝があること。貝には詳しいと自認していたのですが。
それから、イカの子なのか、もしかしてイカではないのかも知れませんが、クラゲに似た形の小イカ。
何れもまあまあ、イケルので、深く考えることもなく、食べてしまうのですが。

20数年前に初めてアメリカに行った時、既にSushiは存在していました。もっと前からあったのでしょうし、在留日本人のための寿司屋はどこにでもあったでしょう。
その当時から当地の人向けのSushiには、中巻きが多く、アボガドなど、日本では名前も知られていないネタが使われていました。
これは寿司ではないと思ったものです。

海外では、まだ生魚が苦手な人が多く、それを避けたネタが使われ、そのためサイドメニューが豊富である。
日本人の見た目には、これは寿司ではないと思えるものが多い。

中巻きは海苔巻きとは言えません。
海苔はSeaweedの一種であり、weedとは雑草の意で、食べるものではないという考え方が欧米人にあり、それで海苔を好かない人が多いと聞いたことがあります。

寿司とSushiの共通点は米とネタを使っていること、回転スシであること位に思えます。

私は寿司から生まれた別物がSushiであり、その地の人の好みに合わせて、ネタもスシとしての形状や、味、色合いも既に大きく変わっているし、これからも変わる可能性がある、つまり、その点を踏まえた上での日本からの進出でないと、元祖はこっち、これぞ日本の寿司という認識や自信に頼っていては、Sushiを抜くことは難しいように思います。
ラーメンは完全な日本食であることのようなものです。

ただ、「Yo!」の経営者の、今や欧米人も、スシなしではいられなくなっている、という言葉は興味深いものがあります。

この問題には、魚の乱獲、それによる価格の高騰だけでなく、取り尽しという生態系に及ぼす大きな問題もあり、食の問題としても、問題や課題がありますが、今回は、スシのネタ話、東西回転スシ事情という辺りで留めたいと思います。  《清水町ハナ》

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