時事雑記帳21「Nスペ「“アメリカ”買収~グローバル化への苦闘~」思い出エッセイ〔142〕

 NHKスペシャル「“アメリカ”買収~グローバル化への苦闘~」(10月26日夜9時)。
新聞の番組欄には、「アメリカを買収せよ・プライド高い米企業を使いこなせ・会議の席で大激論」と、刺激的なタイトルが紹介されていました。二紙とも同じで、放送前に表記の無難なタイトルに変えられたということでしょうか。

先行きどうなるか分からない、世界的な金融危機の只中にあって、一見蚊帳の外、無関係な状況で論じられている感じがしないでもないテーマです。

アメリカの原子力発電所メーカー、ウェスティングハウス社の日本の東芝による買収の経緯がメインに語られます。
冒頭、ウェスティング社の幹部が東芝を訪れ、経営の合理化を迫る場面から始まります。
ウェスティングハウス社は1万人の社員を抱える企業である。

日本の会社が、アメリカの企業を買収するケースが増えている。それを先取りしたのが東芝で、国内に留まっていたものを世界的に(通用)させる。

Japan Money によるアメリカ進出は、アメリカ企業の反発を招くし、世界をリードしているアメリカに乗り込むことは容易ではない。

ニューヨーク、タイムズスクエアの最も目立つ場所に、‘TOSHIBA’は広告を建てた。
西田社長は、ウェスティングハウス社の買収は、グローバル企業の戦略であると語る。

ウェスティングハウス社(以下、W社)は、役員13人の中、11人がアメリカ人、日本人は二人。社長はアメリカ人で、副社長は日本人である。
S副社長は、アメリカW社の業績を日本の社長に報告。その結果に満足するが、一層業績をあげるようにと社長は言う。

世界の原子力発電所、200以上の半分をW社が握っており、そのノウハウは、世界のトップレベルである。
この世界水準の力を丸ごと取り込むのが東芝の目標である。

総合電気メーカーの東芝は、安定化した事業として、原子力発電に進出、国内で22基を手がけた。
中でもタービンを作ることがメインで、微妙な技術が要求される。
W社が誇る原子力発電の設計と東芝のタービンを組み合わせることを考える。

2020年には、1兆円以上の売り上げが予想される。

W社と東芝の技術を如何に融合させるか、タービンの第一人者、K氏をアメリカに派遣する。W社に常駐する日本人の技術者は10人余である。
タービンを海外に売り出すのは、今回が初めてである。

東芝のタービンは、W社には殆ど知られていず、その性能などについて、W社社員から次々に質問が出る。
どうすれば、東芝のタービンがすぐれていることを伝えられるか。

給水加熱機(原子炉に送られる水を加熱する機械)について、意見がぶつかる。

アメリカでは、一部を交換するが、日本では全部を交換する。
可動率を重視するW社に対し、東芝は、reliabilityを主張する。
今のままでは東芝の主張は受け容れられない。どうすれば自分達の技術を受け容れてもらえるか。

1970年代は、アメリカは、日本にとって、車などの主な輸出先だった。
1986年、バネを作っているアメリカの会社を買収した。

アメリカを代表する映画会社、不動産会社を買収した時期もある。

アメリカの金融危機に、日本による買収で(費やされた資金は)3兆5千億円に上る。
アメリカ市場の人材、ノウハウを取り入れて、戦略的に成功している。

「日本企業、再び海外進出」「あと5年もすれば、中国、インドが乗り出してくる。今が日本にとって最高のチャンス」などと言われている。

グローバル(主義)化への最後のチャンスと言える。

東芝にとっても、W社買収は背水の陣をもって当たっている。
西田社長の手になる極秘文書には、2050年までの(計画、経緯)が詳細に記されている。

地球温暖化問題に伴って、100基以上の原子力発電所の増加が見込まれる。

W社を買収すれば、すぐに世界展開を始められるし、買収しかない(西田社長)。
超えなければならない大きな壁もある。

東芝は、21年前、アメリカ議会に非難された苦い経験を持つ。子会社が共産圏に輸出禁止物を輸出したのだ。
下院議員が、安全保障上、東芝によるW社の買収は問題と大統領に手紙を送った。

大物政治家の協力が必要となり、元駐日大使、ハワード・ベーカー氏に仲介を依頼、成功する。
政界だけではなく、アメリカ社会全体に理解してもらうことが必要である(西田社長)。
「子ども発明コンテスト」を東芝が主催。100人以上の子供が参加。

ワシントンの事務所長K氏が、コンテストで優勝した子どもを議会に連れて行き、要人と会わせる。議員にいいイメッジを持ってもらうためである。

ウェスティングハウス社買収はアメリカに受け容れられた。

まず、フィンランドの電力会社に売り込みに向かう。フランスや各国のメーカーも関心を寄せている。
フィンランドに足がかりのなかった東芝は、W社のメリットの実感を持ち始める。

東芝本社にアメリカW社の社長が訪れ、中国が30基以上の原子力発電所の建設を計画しているという情報をもたらす。
中国では、更に多くの原子力発電所の建設の可能性もあると語る。

まだ課題も多い。
W社の世界幹部会議が開かれ、200人が集まる。
東芝の副社長が、その会場で、今後の目標について語るが、具体的にどう達成すればいいかという戸惑いの声も挙がった。

東芝の方針をもっと詳しく説明することを約束。
W社の幹部からは、もっとお互いに知り合うことが必要という意見が出る。

アメリカの企業を買収したと言っても、すぐ判断の差が出て来る。
東芝はW社とどう理解を深め合うのか。

新しい時代の買収は、経営のあり方の模索が続く。

既述の、給水加熱機の問題は、東芝側は、丸ごと交換の線は譲らないが、材質、設計では譲るということで理解を得た。

アメリカ企業買収に乗り出した日本企業の苦闘は続いているが・・・

(以上、メモのとり違いがあったら、お許しください)

冒頭、W社の幹部が東芝を訪れたのは、二年前ということです。
つまり、現在の金融危機の前に買収が成立しているということになります。

バブル時代の、日本企業のアメリカ進出が同じレベルで語られたり、番組のコメントに矛盾を感じたり、現況に即していないと思う部分もありました(例として、‘ジャパン・マネーの進出はアメリカの反発を招く’、‘世界をリードしているアメリカに乗り込むことは容易ではない’等)。

現在の先行きが全く見えない、危機的な状況で、東芝はどういう状況にあるのか、どういう新たな問題が生じているか、関心が向くところです。

N証券やMファイナンシャル・グループの米証券、銀行の買収や資金拠出が報じられていますが、東芝のW社買収とは、状況も条件もその他、全く違うのではとは、素人でも思うことです。

願ってもないM&Aの好機であるのかも知れませんが、一生活者にとっては、今の金融危機が早く安定に向かうことの方が、関心事、優先事です。  《清水町ハナ》

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