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zoom RSS 時事雑記帳16「NHKスペシャル「沸騰都市ダッカ」」思い出エッセイ〔124〕

<<   作成日時 : 2008/06/23 02:12   >>

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NHKスペシャル、“沸騰都市”シリーズ弟3回、ダッカです。「ダッカ、“奇跡”を呼ぶ融資」「豊かさへの脱出」「巨大NGOの挑戦」などという副題がつけられています。“沸騰都市”などという威勢のいいネーミングで始まったにしては、2回目と3回目の間隔が空きました。折しも四川の大地震が起きた所為もあるのでしょうか。深夜、衛星で一回やっていたような気もするのですが。それはともかく、バングラデシュの首都です。

バングラデシュと聞いただけで、世界の最貧国、絶え間なく自然災害に襲われる、高い人口密度・・・負のイメージばかりが浮かび、果たしてどのように沸騰、と多くの人が思うのではないでしょうか。

しかし、ある意味で、単純明快な、極めて分かりやすい、‘沸騰’でした。
バングラデシュには、「煉瓦一つでは何もできないが、積み重ねて行けば大きなものになる」という古い格言がある、と紹介され、当たり前のことでしょう、と言いたくなりましたが、言いたいことは、今ダッカではその言葉が現実のものになりつつある、ということのようです。

現に、今、一日一千万個の煉瓦が売れ、その行き先はダッカだそうです。
ここ5年間の経済成長率は6%近い。
バングラは、自らの力で貧困から抜け出そうとしている。その主役を担っているのはダッカで、農村から人々が押し寄せている。

世界の最も貧しい人々の豊かさへの挑戦と言える。
嘗て物乞いで溢れていたメイン・ストリートが、今では仕事をする人の活力が溢れている。
企業も続々誕生し、ホワイトカラーも急増している。

今までは、ビルと言うと、6階建て位だったのが、高層ビルが激増している。ビルは、いつでも高く建て増しできるように、鉄筋を剥き出しにしている。
1200万人の人口のうち、40%が貧困層だったのが、10年で10%減った。

輸出総額の7割が縫製品である。
ダッカの人件費は、中国の三分の一である。
工場の建物の完成が待ち切れず、工員達がミシンを踏み始めようとしている(その位働く意欲がある)。

工場が完成すると、仲買人が、世界中から注文を取り、仕事を持ち込む。
工員の初任給は2,500円だが、ミシンができると、800円増しとなる。

Iさんは、スラムで20年縫製の仕事をしていたが、NGOの銀行ブラックから20万円の融資を受けて、縫製工場を立ち上げた。

NGO銀行ブラックは、11万人のスタッフを擁する組織だが、貧困層に担保をとらないで融資し、利子を再び貧困層に投資するという方法で、貧困層の救済を図っている。

人々は、携帯貸し出し業(1分3円)、体重・身長計測(血圧が加わると、8円増し)など、あの手この手で商売をしている。

ダッカには、政府も手の施しようがない、コライル島と呼ばれる、最大のスラムがあるが、ブラックは、‘マイクロ・クレジット’と呼ばれる、担保の要らない少額の貸し出しを行っている。

例えば、ある女性は、ミシンを買うお金を借りて、縫製の仕事をし、ある女性は、フライパンを買うお金を借りて、お菓子屋を始めた。
国全体の7割がマイクロ・クレジットを利用している。

22歳の女性、Rさんは、ブラックからお金を借りたいと思っている。
北部の農村からやって来たが、夫が病気になり、雑貨屋の仕事が成り立たなくなってしまった。 
ブラックにマイクロ・クレジットを申し込んだ。

一方、Iさんの縫製工場はトラブルに見舞われていた。
電力不足で電気が来ない。ミシン18台の内8台しか動かせない。
サウジ向けの洋服500着の注文をこなさなければならず、ブラックの返済期限が迫っている。
奥さん自ら難しい仕事を引き受け、サウジの500着の注文は納入したが、代金が揃わない。

一部、8千円しか届かない。
最初の返済に躓くと、銀行の信用はガタ落ちになる。
銀行の閉店まで、あと一時間半。あちこちで金策をして、42,000円やっと揃い、返すことができた。

Rさん。ブラックは、マイクロ・クレジットに担保をとらない代わりに、5人の連帯保証人を立てなければならない。
5人を連れて、ブラックに申し込んだ。

ブラックの面接者が見極めるのは、借りたお金をどう使うかということである。
5人の連帯保証人は、口々に、何か不都合があったら、自分達が何とかするという意味の援護射撃をする。

12,000円、借りることに成功する。
利子は15%。これでも街の五分の一である。
Rさんは、油を仕入れ、それから、豆、塩、石鹸などを仕入れる。油がよく売れる。売り上げは以前の3倍となる。

返済は一週間ごとで、まず最初の358円を無事に返した。
マイクロ・クレジットの利用者は殆ど女性で、返済率は99.5%である。

ブラックは、地方の貧困の原因は情報格差にあると考え、地方にインターネットを入れることに力を入れる。
ある地域にインターネットが入る日、村はお祭騒ぎ。ブラックの会長も出席する。

三ヶ月後、Iさんの縫製工場は、16人の従業員が125人に増え、蛍光灯が明々と灯っている。
売り上げは、月90万円と4倍になった。アメリカから、定期的な注文も入り、ブラック銀行の返済も順調である。
Iさんは、工場の拡張を考えている。

2千人の従業員を擁する、立志伝中の人物に会い、アドバイスを求める。
従業員の中には、物乞いや売春婦出身の者もいて、経営者自身、貧しい家の出である。
丁寧な仕事をすることがまず大切と教わる。バングラデシュでは、政府も誰も手伝ってくれないとも言う。

インターネットが入った地域では、少しづつ変化が見られ、例えば、ダッカでは、米や小麦の値が50%以上高くなっているのに、この村では安値のままということも知る。
この情報を農家の人に知ってもらって、今後仲買人との交渉に役立たせることができる。

Iさんは、125人分の従業員の給料を無事支払う。これを最優先に考えている。
アメリカからの、女性のズボン、1,600着という急な注文も間に合わせた。
目標は屋上に工場を建て増しをすることである。

毎日、地方から、多い日は3万人がダッカにやって来る。全財産を持って、ダッカで働くために。

15年後、ダッカの人口は2,200万人となる。 

確かに、登場した人々の表情は、明るく、生き生きとしているし、ダッカを目指して地方から押し寄せる人の顔も希望に満ちているように見えます。その点では、‘沸騰’という言葉の意味を充たしていると言えるかも知れない。

しかし、NGO、ブラック銀行の発想は、その程度のことも政府や関係者には、これまで、手をつけられなかったことかと思わせられます。15%の利子でも、街の五分の一とは。
5人の連帯保証人・・・我々には考えられないことです。
中国が経済発展の緒についた頃を思わせないでもありませんが、根本的に異なることは言うまでもありません。

一国家とその首都が、本当に貧困から脱しかけているのか、それも人の手を借りて。その兆しを‘沸騰’と捉えるには、いささかチャチな例である。輸出総額の7割が縫製品というのも気になる数字です。
その前にバングラデシュという国についての説明も必要だと思います。

ブラックには、日本の商社も参入しており、NGOと言っても、慈善事業ではないし、一回でも返済が滞れば、容赦なく切り捨てる、どの面に関しても、タフなネゴシエイターでしょう。

煉瓦は、確かに積み上げれば大きくなるけど、地震には脆く崩れる。
ダッカとバングラデシュの沸騰が、本物か、どういう方向に進むか、見極められるのは、まだ先のことのように思えます。  《清水町ハナ》

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
 こんばんは。沸騰都市ダッカを観ました。バングラデシュの最近の経済成長に驚きました。しかし、その発展の様子はドバイなどとは違って、人々の安全や生活レベルの向上などとはほど遠い、地震が来たら夢も生活もすぐに失くすような煉瓦のビルの上にあって、少し心配しました。
 しんこう国といわれる国の政治は一体どうなっているのでしょうか。世界中にはまだまだ部族紛争や軍事政権などで民主的とはいえない国がたくさんありますが、このダッカのように光が見え始めた国が順調に成長することを祈りたいという気持ちです。
パレット
URL
2008/06/26 00:37
パレット様、コメントありがとうございます。同感です。巨大NGOの融資によって、庶民が最貧の状態から少しづつ抜け出す姿に、結果よければ全てよし、とは言えない、まして‘沸騰都市’とは、完全に外からの視点のように思える、それでいて、懸命に努力する庶民の姿には、思わず拍手を送ってしまう、複雑な思いです。今、先進国と呼ばれる国々は、「エコ」の話題で持ちきりですが、発展途上国の多くは、様々な姿の現状から如何に抜け出すかが問題で、前方の、我々が通って来た道、先進国と呼ばれる国々が犯して来た誤りを見据えながら、どのような歩みをとるか、選択は彼らの手にあると思いますが。
清水町 ハナ
URL
2008/06/26 02:08

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