映画雑記帳49「「MAMMA MIA!」感想」思い出エッセイ〔162〕

 「マンマ・ミーア!(MAMMA MIA!)」(メリル・ストリープ、アマンダ・セイフライド、ピアース・ブロスナン 監督:フィリダ・ロイド)。ABBAの歌いっぱいの、ヒット・ミュージカルの映画化です。ひと時の元気の素をもらいました。

ABBA(アバ)の歌は、まるでこの映画のために作られたかのように、映画と一体化しています。実は30年も前に活躍した4人グループですが。

この映画のストーリーは、それほど重要性を持つものではなく(と書くと、誤解を招きそうですが、初めにABBAの歌ありきだからです)、最初に簡単にご紹介してしまいましょう。

舞台は、ギリシャ、エーゲ海に浮かぶ小島。
ドナ(メリル・ストリープ)は、島で小さなホテル(というよりinn?)を営んでいる。
シングルマザーとして育てた一人娘、ソフィ(アマンダ・セイフライド)の結婚式を間もなく迎える。

ソフイは、ドナの古い日記を読んで、自分の父親の可能性がある、三人の男性、サム(ピアース・ブロスナン)、ハリー(コリン・ファース)、ビル(ステラン・スカルガルド)を密かに式に招待する。

島へやって来た三人。動転したドナに山羊小屋に閉じ込められてしまう。
ソフィの真意が分からず、式を挙げたくないのかと思ったり、ソフィも、自分の、ちょっとした悪戯、ドナを喜ばせようと思ってしたことが、思いがけない騒動を招いたり、フィアンセのスカイ(ドミニク・クーパー)に誤解されたりで、落ち込む。
しかし、当然ながら、ハッピーエンドです。

主役、メリル・ストリープと聞いて、エッ、どころか、マサカと思ったのは、私だけでしょうか。
彼女が歌い踊る映画など、少なくとも私の記憶にはありません。
しかも私はメリル・ストリープがあまり好きではありませんでした。

その理由は、以前にも書いたので、繰り返しませんが、中年を過ぎて、すっかり貫禄が出て来て、開き直っているようにも見えるようになった彼女に、それまでにないオーラを感じ、贔屓のヒ位までの感情を持つようになっていました。

この「マンマ・ミーア!」は、予告編を見る機会がなく、さあ、観に行こうという気分ではなかったのが、テレビの紹介で、映画の一部分が紹介され、(言葉は悪いのですが)度肝を抜かれました。えっ、これがメリル・ストリープ!!と。

そして、映画館に駆けつけたわけですが、8割以上の入り。中年、それ以上の年輩の方が多いように思われました。
映画の間、ずっと足でテンポをとっている年輩の男性もおられました。
勿論、今でもABBAの歌は広く愛されているのでしょうが、彼らのコンサートを実際に聴いたり、テレビで観た方は、結構な年輩になっている筈です。

映画が始まって間もなく、驚かされるのは、“Dancing Queen ”です。
化粧っ気のない、皺も目立つ、初老の素顔に、中年太り、モシャモシャの髪、ジーンズのツナギの一方の肩はずり落ちている。

そんな姿で、ドナは、結婚式の招待客であり、旧友でもある、ロージー(ジュリー・ウォルターズ)とターニャ(クリスティン・バランスキー)と、海に突き出ている長い桟橋に走り出て、「ダンシング・クイーン」を、島の大勢のオバサン達も一緒に、激しいダンスの振り付けで、所狭しと歌い踊ります。

本当に圧巻です。呆気にとられます。ちょっと野太い感じの声も魅力的ですが、その動きの激しさとテンポの速さ。一緒に踊り出したい気分に駆られた方もいるでしょう。
メリルはこんなこともできるんだ・・・

三人とも実年齢は、60歳にナンナンとしているのですが、半分位の年齢の人でも負ける人は負けるでしょう。
とにかく三人揃っての、歌とダンス。どれも素晴らしいし、好き嫌いは別にしても必見です。

そして、この“Dancing Queen ”は、映画の最後にも、再び登場します。三人で。
エンディングの一部ともなっているのですが、この時は、キラキラ、デコデコの、体にピッタリの(結構スタイルもいい)銀色のド派手な衣装に、メイクもバッチリ、どこの誰かと思う美貌で、再び歌い踊ります。

ロージーとターニャ役は、失礼ながら、間違っても「お若い時はおきれいだったでしょう」などとは言われそうにない、オバアサンに近いオバサンですが、この二人だけでも、ヒヨッコの若者達を向こうに廻し、達者なあしらい(演技?)、歌と踊りを見せてくれて、見ている者(特に女性)をスカーッとさせてくれます。

それに比べて、男性陣は、俳優がではなく、扱われ方があまりパッとしませんね。
前・ジェームス・ボンドという華々しい経歴を持つピアース・ブロスナン。歌はあまり上手とは言えないし、ダンスもいささかぎこちない。
まあ、でも何と言っても、007です。得な役回りはもらっています。

ABBAは、しっとりと情感こめて歌うというのとはちょっと異なり、豊かな声量で、歌い上げるというタイプのグループでしたが、私は、中でも“the Winner”が大好きでした。
「アバ」に関心がない方でも、メロディを聞けば、あ、知ってると言われると思います。

これは、途中から音程も声も強く激しく一気に歌い上げるところがまた好きでしたが、これを使うか、どうやって、と思っていたら、意外な場面で、原曲と違う雰囲気でメリルが歌いました。お楽しみに。

こんなことを書きながら、私は寂寥と言っていい感情に捉われています。
ABBAはもういない。再結成は二度とない。
女性二人、男性二人。四人いれば、今だと、踊ったり、何らかの振り付けをしそうですが、私が見た映像は、四人が殆どピッタリ並んでいました。大体同じ位の背で(合わせていたのかも知れませんが)、ヴォーカルは殆ど女性の担当でした。

真っ白なパンツスーツ姿が一番素敵だと思いました。大人の感じがしました。
美貌というほどでもないけど、立ち姿がよくて、女性二人ともスタイルがよかったのですが、一人は「後ろ姿(つまりヒップ)が世界一?カッコいい」などと言われていたのを覚えています。

メンバーの二人が結婚して、子どもも生まれたのに、離婚して、それまでのようにハーモニーを保てるのかなと要らないことを思ったり、それから、解散後、メンバーのインタビューを見た記憶があるのですが、内容を全く記憶していないものの、ああ、再結成はあり得ないと寂しく思った感じだけ覚えています。

男性二人は、引き続き作曲、編曲に関わっているようですが、いずれにしても、ABBAとしての歌声はクラシックとして残って行くでしょうし、この映画は、その強い味方になるでしょう。

監督も脚本も、制作も皆女性です。ある意味(というより全面的に)女性映画であり、女性応援歌であるようにも思います。

主な俳優、スタッフの多くが英国出身ですが、アメリカ映画です。俳優のトム・ハンクス夫妻が制作総指揮となっています。

そうそう、メリル・ストリープは、ニュージャージー出身だそうです。
彼女を最初に知ったのは、連続テレビ映画、「ホロコースト」で、難民としてアメリカに行き、英語の習得に苦労する場面があって、その時の癖のある英語から、東欧辺りの出身と思い込んでいました。

エンディングは、最後までお楽しみ続きです。見逃すことはあり得ない構成になっていますが、あ、終わったと思っても、もう一曲ありますから、お聴き逃がしなく。  《清水町ハナ》

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  • マンマ・ミーア

    Excerpt:  ミュージカルってほとんど観ませんが,底抜けに明るい映画でした。  ドナ役はのメ Weblog: EURISKO2005 racked: 2009-06-29 06:40