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zoom RSS 思い出エッセイ〔493〕映画雑記帳248「【蜩の記】感想」

<<   作成日時 : 2014/10/13 14:47   >>

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【蜩の記】〈役所広司、岡田准一、原田美枝子、堀北真希、青木崇高、寺島しのぶ、吉田晴登、井川比佐志、監督:小泉尭史〉。

また時代劇、そんな思いがちょっと頭を掠めました。
近場の映画館が営業をやめてしまって、映画を選ぶという状況がなくなってしまった、そこは3スクリーンあったし、殆ど洋画で、一般受けはしないけど、見たいと思っていた映画も見られた、かなり古くて観客の快適度ということでは少々問題があっても、近かったし、それが何よりだったのに。

この【蜩の記】については、三年後に切腹することが決まっている武士、と言うテーマだけが度々目に入っていました。
内容や雰囲気を漠然と想像して、ちょっとした固定観念になっていたと思います。

見始めてすぐ映画に引き入れられました。
よかった、いい映画でした。帰宅しても、この気分のよさは本当に久しぶりという思いが続いています。
役所広司の秀逸な演技に依っているところも大きいと思います。


映画は、まず景色と言うか、風景と言うか、心に残る所が多くあるのですが、九州を舞台としているが、ロケ地の7割以上は遠野だそうです。

ストーリーは、檀野庄三郎(岡田准一)と言う若い武士が、書の墨が、隣の同じく若い武士、水上信吾(成人後、青木崇高)に飛んだというつまらないことで(と言っても、衣服の家紋を汚してしまうことが、大ごとになるきっかけになるのですが)、刃傷沙汰を起こし、罰として、僻地に飛ばされると言う、信じられないほどのちっぽけなことが招く由々しき事態から始まります。

庄三郎に課せられた罰としての任務は、主君の側室と不義密通した罪で、十年後の切腹を言い渡されている、元郡奉行、戸田秋谷(役所広司)を監視することだった。
秋谷は、妻(原田美枝子)と娘、薫(堀北真希)と僻地で文字通りの陋屋に住んでいた。切腹の日まであと三年だった。

彼らと寝食を共にする中、庄三郎は、藩の家譜をまとめることに没頭し、百姓達のことを理解し味方になる正義感を持ち、妻子に対しても愛情深く、淡々と生きる秋谷の姿に心惹かれる。
このような秋谷が罪を犯すとは信じられず、庄三郎は、事件の洗い直しを始める。
彼は、薫を愛するようになっていた。


庄三郎が、秋谷の陋屋に辿り着くと、秋谷と家族が出迎える。その時の秋谷の表情が、この役柄がこの時必要とする表情にこれというものがあるとすれば、まさしくそれを表している、観客の多くが、初対面の秋谷に、この人は言われているような罪を犯す人ではない、と言う確信的な印象を持つのではと思うのですが、言い過ぎかも知れません。

いずれにしても、まず全編を通して、役所広司の確かな演技がこの作品の芯となり、その秋谷に魅せられ、彼に入り込むようにして、接し、生きる、庄三郎の岡田准一もまた役になり切っている。

殆ど考えることのないことですが、こういう、最も望ましい姿の日本人、とか、真の武士道精神を持った武士とか、そんなことまで頭に浮かんで、少々慌てました。

一つ思ったことは、そんな人間が、側室と不義密通などと言う、言わば、破廉恥な、武士にはあるまじき罪を犯すか、更に(私は聞き逃したので書きませんでしたが)小姓を殺したと言う記述もあり、秋谷は当時から清廉潔白な人格が周囲に知られていたと思われるのに、そのような嫌疑がかかることに疑義を持つ者(裁く側にも言えることだと思いますが)がいなかったのかということです。
お家騒動など仕組まれたことであっても、秋谷のためにどんな形でも動く人間がいなかったのだろうかと言う思いを持ちました。
まあ、武士の人格などは、私生活に入り込んで、分かることと思われていたのかも知れませんが。

いずれにしても、上に書いたようなことは後で思ったことで、この映画は、完成度の高い作品ということが、見終った時にまず感じたことです。
映画としての面白さ、エンタメ性も充分に備えていると思います。

描き出された自然の美しさも特筆すべきものです。薄緑の若葉が画面いっぱいにサヤサヤと溢れる様が目に浮かび、もう一度見たいと思ったら、本当にもう一度映し出され、豊かな気分になり、最後にもう一度と期待したのですが、それはありませんでした。

美しい映画、と言う思いがまず浮かびました。
映画を見終った後、自分自身がこんなに穏やかになって、いい気分でいられるということ、単純に言うと、映画を見ていて、見終った後で、いい気分がそのままこんなに続いたことが初めての経験だったように思います。お勧めです.  《清水町》ハナ

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