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zoom RSS 思い出エッセイ〔492〕映画雑記帳247【柘榴坂の仇討】感想」

<<   作成日時 : 2014/09/29 13:59   >>

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 【柘榴坂の仇討】(中井貴一、阿部寛、広末涼子、高嶋政伸、藤竜也、真飛聖、中村吉右衛門、監督:若松節朗)。

柘榴坂、仇討、桜田門外の変・・・古めかしい、今の世と関係ない、昔のこと、そんな思いが浮かびます。
しかしスチール写真の、主人公を演じる中井貴一の表情は、古さ?とは無縁、みてみようと決めました。

観客は殆ど中高年でした。
見終って、この映画は、若い世代も共感を抱くだろう、見て、面白い映画でもある、ある意味、新しい時代劇であり、つまり斬新さも感じられると思いました。
(この思いは実感ですが、‘桜田門外の変’と言う実際に起きた大事件を考えると、こういうストーリー、多少ムリがあるようにも感じるのですが)


主人公の、彦根藩士、志村金吾(中井貴一)が、道場で烈しく剣を振るう場面、そして、思いがけず、大老井伊直弼(中村吉右衛門)に呼び出され、警護役の近習を仰せつかる。
身分の低い金吾に、大老は穏やかな表情で、直接声をかける、鶯の鳴き声を聞いて歌をしたため、金吾に手渡す。

井伊大老と言えば、自身の信念を押し通す、従わない者は弾圧、と、やさしさとは無縁のイメージしかない、私的な面が知られていない、取り上げられた場面など見たことがない、しかしこういう面もあったのかも知れない、見る者も自然に受け容れる。

金吾の大老への思いが確固たるものになる、そうに違いないと、見る者も確信を抱く、やさしさのあるエピソードと、硬派のイメージしか持っていなかった井伊直弼に、こんな面もある人だったのか(こういう顔もあったに違いない)と思わせる、自然ないいシーンだったと思います。
井伊直弼役の中村吉右衛門も、ゆったりとした穏やかな感じを出しながら、凜とした風格も保って、存在感抜群でした。

安政7年3月、水戸の浪士、17人と薩摩藩士1人が、登城途中の桜田門外で、井伊大老の駕籠を襲う。

出発前に、金吾が刀を頑丈な紐で縛って抜けないようにする場面があり、何故か分からず、見逃したと思って、調べたのですが、上役がそうするように命じたと言う記述しか見出せませんでした(net)。それぞれ役割があったと思われますが、襲撃者にまず抜刀して手向かう者が決まっていたのか、引き続き調べてみたいと思います。

いずれにしても、金吾は襲撃に遭い、今更のように長刀が抜けないことに気づき、脇差で手向かい、襲撃者の一人(佐橋十兵衛:阿部寛)を深追いして、路地に入ってしまう。
銃撃音に我に返り、駕籠に戻ると、大老は討たれており、周囲の者も落命していた。

映画は、主君を守れなかった家臣達の懲罰について詳しく描いていませんが、持ち場を離れる結果になった金吾は、切腹も許されなかった、現場から逃亡した、5名の水戸浪士を討てと命じられる。

もともと下級武士で、暮らしが楽でないのに、一層苦しい生活となり、しかもどこにいるか分からない浪士達を探し出し討つと言う、全く当てのない、殆ど不可能な命令に全てを費やさなければならない、絶望的になる金吾を妻のセツ(広末涼子)は、明るい表情で励ます。自分は居酒屋の女中となって家計を助ける。

13年が経ち、時代は明治となって、彦根藩は廃藩となり、事実上浪士討伐の命令も反故になったも同然だが、金吾は志を変えなかった。
一方目指す相手、佐橋十兵衛は、直吉と名前を変え、人力車の車夫を仕事としていた。
五人の生き残りの浪士の中で他の者が命を落とす中、十兵衛だけがただ一人の生き残りとなっていた。

金吾の友人(高嶋政宏)が、嘗ての上司(藤達也)に、金吾の力になってくれるように頼み、遂に十兵衛の居所が分かる。
しかし、時を同じくして政府による「仇討禁止令」が発布される。
金吾が志を変えることはない。


面白く、気分よく、みました。
エンターテインメント性がありながら、それだけではない、江戸から明治へ、武士と言う身分がなくなっても(士農工商と言うある種の身分は残ったわけですから、正確には武士と言う職業がなくなったと書いた方がいいかも知れませんが)、姿も心も武士、仇討という目的も変えていない、しかしそれを時勢に逆らって、顕在させてみるということはしない、控えめな佇まいの中の変わらぬ気持ちの強さを中井貴一が見事に演じていたと思います。

ただこのストーリーの始まりとも言える「桜田門外の変」は井伊家、幕府にとっては勿論、世情というより国情に大きな影響を与えた事件です。
映画の中の十兵衛のセリフで「大老の行列は共の者が(72人もいたのに)、(18人と言う)少人数に(敗れた) 」(数字が正確ではないかも知れませんが)と言う意味のことが語られ、あらためて70人もの従者がついていたことを知って(大老ですから当然と言えば当然ですが)、十兵衛の言う通り、何故むざむざとあのような結果になったのかと考えさせられました。

井伊家も幕府から石高を減らされるなどの処罰を受け、行列に加わっていた家臣は井伊家から非常に厳しい処罰を受けている。重傷の者でも幽閉・・・とこれ以上書くと、映画の興味を削ぐことになるので、止めます。
ただ誰もが知っている大きな事件を題材にする難しさはあると思います。

映画としては、端整でいい感じだったと思います。  《清水町ハナ》


(【おことわり】一部削除訂正しましたー2014-10-.1.ー)

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