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zoom RSS 思い出エッセイ〔485〕映画雑記帳242「【春を背負って】感想」

<<   作成日時 : 2014/07/01 19:41   >>

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 【春を背負って】(松山ケンイチ、蒼井優、豊川悦司、檀ふみ、小林薫、新井浩文、吉田栄作、仲村トオル、石橋蓮司、監督・撮影:木村大作)。

いい映画だったと思います。
人間より山が主人公という感じの映画かと思いましたが、山々の素晴らしい映像は溢れる程でしたが、その山で生きる、山を、環境、背景として生きる人間の物語でした。


長嶺亨(松山ケンイチ)は、投資銀行のトレーダーとして忙しく働いている。
一瞬の緩みも上司の朝倉(仲村トオル)から厳しい叱責が飛ぶ。
ある日山小屋「菫小屋」を経営していた、父(小林薫)が遭難者の救助に関わって亡くなったと言う知らせが来る。

母の菫(檀ふみ)は、下で民宿をやっている。
葬儀が済み、家族は、山に登り、父の仲間や菫小屋で働いている愛(蒼井優)と散骨をする。

菫は、「菫小屋」を続けることは諦めようと思うと、自分の考えを伝える。
しかしケンイチは、今の仕事を捨てても、父の人生が凝縮しているような山小屋を継ぎ、山々の中で生きて行くことを選びたいと思った。

母の菫は無理なことと反対するが、亨の決心は固く、愛の賛成も得て、山小屋経営を始める。
登山の経験も殆どない亨には苦難の日々が続くが、ある日父の旧知の者と言う多田悟郎(豊川悦司)が菫小屋に現れ、小屋の経営に協力すると申し出る。
悟郎に多くを教わりながら、亨は次第に仕事に慣れて行く。

ある日悟郎が突然倒れる。一刻も早い治療が必要で、亨は、悟郎を背負って山を下りる決心をする。


ごく簡単に粗筋を書きましたが、映画は、山小屋を経営する人と山の(立山がモデルだそうですが)、日々、春夏秋冬を、生活、エピソードなどを、丁寧にしかし淡々と描くことにより、山に生きる人々の特殊な環境を、普通とは異なるとか、際立っている、と言う捉え方をせず、一つの家族とその仲間の、ごく典型的な生活の、(言葉は適当ではないかも知れませんが)ある種のサンプルのように提示していると思えました。

私は登山をしないし、山についてもテレビなどで見ているだけ、まして猛吹雪の中を遭難者救助のお手伝いをすることなどできない、しかしこの映画の登場人物は自分達とはかけ離れた生活をしている、などと言う先入観を殆ど持たず、ケンイチと愛、その仲間、父の旧友である先輩の、普通の生活を、共感を持って見ることが出来た、つまり、山々の、その時々の美しい姿、景色、四季の変化なども、ケンイチ達の周囲、環境として抵抗なく眺めた、そのように受け入れた、そんな面があったと思います。
確かに息をのむほど美しい山の風景が溢れているが、それは彼らも日々その都度感じ取っていることだし、自分達の環境であるわけです。

一見慣れた様子の、一人登山の中年女性、山小屋のスタッフは、頂上を目指す彼女を囲むようにして話している、平和で和やかな雰囲気なのに、ふと不安感を抱かせられる。
そして、間もなく天気が急変し、ケンイチ達は捜索に出る。
案の定彼女は、倒れ込んでいる。
介抱して、意識を取り戻す。

「ガイドブックを熟読して来たのに」と言う彼女の言葉に唖然とさせられる。
ちょっとおかしくも感じます。
この女性を演じたのは市毛良枝さんだと思いますが、彼女は登山家であり、短いエピソードにユーモアやいたずら心、意外性を潜ませているというわけです。

登山をしないと言っても、テレビで登山の番組があれば、必ずと言ってよく見ます。
日本の百名山だけでなく、スイスを中心とするヨーロッパや他の地域の山々の番組も興味深く見ています。

フルコースのご馳走が出る山小屋や、遭難事故があると、ヘリコプターのロープにドクターがぶら下がっていて、すぐに怪我の治療にかかれるようにしていることとか、ある地点まで決められた時間内にクリアできなかったら、それ以上進むことを禁じられるとか、日本と異なる事情に惹かれたりします。

私達家族は、若い頃、子供と三人で休日ごとに秩父や奥多摩などの山にハイキングをしていましたが、以前書いたことがあるのですが、はるか下に川が見えると言う絶壁の道で、子供が転落して、半分気を失ったような状態で見下ろしたところ木の根に引っかかっていたと言う事件と言うか遭難があり、その日を限りにして登山を止めてしまったのです。
今思えば。自分一人で続けると言う選択もあったわけですが。

この映画が山小屋を経営する人達やその仲間の日常を普通に描いていると書きましたが、やはり山々の映像やその中で暮らす人々の姿は美しいし、元気をもらえるものでした。
山々が日常に溶け込んでいる、生活の一部になっていることがごく普通に描かれている、そう見えるための撮影も主役の一人と言えると思います。

ストーリーが終わって、エンディングに入り、私の前の方はちょっと立ちかけましたがすぐ座り直しました。当然予想される映像が続きました。
山と人を描いた、本当に気分が爽快になる、いい映画だったと思います。  《清水町ハナ》

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