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zoom RSS 思い出エッセイ〔478〕映画雑記帳237「【白ゆき姫殺人事件】感想」

<<   作成日時 : 2014/04/15 15:22   >>

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 【白ゆき姫殺人事件】(井上真央、綾野剛、蓮佛美沙子、菜々緒、金子ノブアキ、貫地谷しほり、染谷将太、監督:中村義洋)。

この映画を見終って、まず、今迄見たことがない種類の映画、と言う感じを持ちました。

Twitterが大きな役割を占めている、主人公、と言うか、狂言回しと言うか、赤星雄治(綾野剛)がツイッターでストーリーを語り始めるからでもあると思いますが、それだけではない。


国定公園、しぐれ谷で、女性の死体が発見される。まず若く美しい刺殺体が映し出されるが、実際は黒焦げの焼死体である。
遺体の身元は、「日の出化粧品株式会社」のOL、三木典子(菜々緒)と分かる。

この事件をマスコミは大々的に報道する。
ワイドショーを担当している映像ディレクターの赤星も、関心を持ったところに、同じ「日の出化粧品」に勤めている、知人の里沙子(蓮佛美沙子)から電話がかかる。
殺された典子は、先輩であり、犯人に心当たりがあると言う。
典子の同輩の城野美姫(井上真央)が犯人と言うのだ。証拠もあると言う。
赤星は、早速、里沙子の情報を、Red Starと名乗っているツイッターに書き込む。自分でもカメラを持って、事件の取材を始める。ターゲットはSと言う頭文字で登場させる城野美姫である。

会社で、美姫は、典子に扱いに差をつけられていた。
お茶を美姫が入れ、お客に出すのは典子、係長の篠山聰史(金子ノブアキ)にお弁当を作って来て、親しい関係になるが、何か月も経たず、典子にとられてしまい、篠山も美姫となど付き合ったことはないと、シレーっと口にする。

また美姫は、子供の頃、親友の谷村夕子(貫地谷しほり)と、呪いの儀式と名付けた火を使う行為で、神社を焼いてしまったことがあった。
典子の殺し方はその呪いの儀式とも考えられる。

二人は、学校での自己紹介の時、夕子、と言う名前からその場でタコというあだ名をつけられたり、美しくもないのに美姫なんてと言われたり、その上担任の女教師までイジメに繋がる、クラスの生徒のノリにのった発言をする。

美姫はサッカーのエース、江藤慎吾(成人後:大東駿介)に好意を抱いていたが、教室で慎吾が蹴った雑巾が美姫の頭にのってしまい、以後慎吾が何度謝っても受け容れない。
ある日慎吾は、自転車のブレーキが効かず、事故となって大怪我をする。

美姫の両親(ダンカン、秋野暢子)にも会う。母親は、美姫はそんなことをする子ではないと必死にかばうが、父親は美姫を許してやってくれと深々と頭を下げる。
美姫はこの騒ぎの間、東京のビジネスホテルに身を潜めていた。

こうした証言の数々と典子が殺害される前のアリバイも彼女が犯人であることが間違いないと指示しているように思われ、赤星は、確信を持って映像化し、オンエアするが・・・


美姫役の井上真央は、化粧気も殆どなく、自分が犯人と名指され、子供の頃からの私生活が次々と明るみに出されることにも、何人かの親しい者達の彼女をかばう声も消されがちで、ひたすら目立たないように身を潜めたままで、漸く彼女の無関係が立証され始めても明るさを取り戻すことはない、と言うよりもともと明るさとは無縁と言う感じの、かなり損な役、優れた演技をもってしても、あまり得な役ではないと思えるのですが、本当にそうだろうか。

犯人は結構意外な人間で、ミステリーだったら、これで一巻の終わりと言うところですが、この作品は、寧ろ中心になっている核のストーリーの周囲に、美姫を中心とした、別の核、更に複雑な人間模様と言うか、静かなる勝者を描き出しているように感じました。

軽率な人間として描かれている赤星は、罰として?美姫の車に轢かれそうになり、揚句に謝り方が悪いと土下座に近く頭を下げることになる。無条件降伏です。
マスコミは、現実にも、これまで無実の人を有罪と決めつけたりしたし、赤星もマスコミの人間で、美姫を犯人扱いしたことは、彼一人がやったことではありません。彼の属するマスコミも、ツイッターにのった人も、経緯に関心を持った人も、ある意味同罪です。

しかし物語は更にしたたかであるように思えます。
美姫が言われるだけ言われて、〈典子の〉殺人者にまで仕立てられて、父親も土下座させられたりしているのに、どちらかと言えば、やり過ごしたような観がありますが、典子の方が常に優遇されて、殺しの犯人と疑われ、真実が明らかになっても、晴れてどう、と言う終わり方でもないことにも、赤星を轢きそうになること位しか仕返し(罰)がない、ということも、何となく納得し兼ねることです。

赤星を轢きそうになって、車体が横になる程の急ブレーキで危うくかわす、それだけ車の腕もいい、時として高速をブッ飛ばしているのかも知れない。
最初からほぼ最後まで、沈んだ、浮かない表情をしている、あれはもしかして、お話の中だけでなく、観客にも向けられた、つくった表情かも知れない。

ミステリーで犯人を明かすことがタブーであることは決まりきったことですが、晴れて?犯人が挙がり、物語も終われば、他のことなら少しオシャベリをしてもいいのではないか、そんな感じで少し付け足してみたいと思います。

サッカーのエースが誤って美姫の頭に雑巾を蹴り上げてしまったこと、彼が何回謝っても許さない、その挙句に彼は自転車のブレーキが効かず、大怪我を負う。死んでいたかも知れないと彼は言う。ブレーキを誰かが外したとも言う。
美姫がやったことは、彼女が謝ったことでも分かる、と言うか、自分がやったと寧ろ積極的に告げている。

鬱々たる日々で、唯一美姫にとって大きな喜びは、「芹沢ブラザーズ」という兄弟二人のバイオリニストとピアニスト一人のトリオの大ファンとなって、その演奏を聴きに行くことだった。
特に弟の雅也のファンだったが、典子も彼に入れ込んでいる。
急な長い階段を三人が降りて行くところをファンも追う。
美姫は雅也の横について、彼を押す。転げ落ちて、死んでもおかしくないのに、彼は命は助かった。しかし左手に重傷を負った。

そして典子殺しにも一役かっている。典子は山の中で発見されている。そこへ行くまでは無防備の状態だったことになる。

最後に美姫と夕子が、子供の頃、夜になると、窓を開けて、お互い火を灯して、振って、合図を交わしていた。久しぶりに、灯火を振って合図する二人。
呪いの儀式はこれからも続くと言っているようにも思えます。

美姫と言う女性は、自分が好きな、それ以上に夢中になる相手に対して、ちょっとしたことが許せず、殺意を抱く、実行に移す、結構コワイこと、人間なのに、そういう相手や出来事に対して、事件の真相を追う主人公が、ツイッターで何でも呟いて、それに応じる人々が思い思いのことを呟いて、真相に近づきもするが、関係のない方向に広がってしまう、そのアンバランスが面白みにも繋がっている新感覚の映画であるとも言えそうです。

今の世の中、重ーいことも、かるーく捉えて、広がりだけは並みでなくなり、収集がつかなくなっている、そういう警告も読み取れます。
面白い映画でした。斬新と言う、古めかしい言葉が意外に合うように思えます。   《清水町ハナ》

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