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zoom RSS 思い出エッセイ〔472〕映画雑記帳233「【武士の献立】感想」

<<   作成日時 : 2014/01/18 09:36   >>

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 【武士の献立】(上戸彩、高良健吾、西田敏行、余貴美子、夏川結衣、成海璃子、柄本佑、緒方直人、鹿賀丈史、監督:朝原雄三)。

個人的なことですが、旧年から心配事を抱え、憂きこともいくつかあり、お正月は普通に過ごしましたが、映画も少々ご無沙汰(私の基準でですが)、年末年始、ある種のケジメ?で、ご挨拶のようにお決まりのお正月文などを書いていた習慣もパス。

まあ、映画から、と思って、見たのがこの【武士の献立】です。封切から大分経っていますが。
何と言うか、ゆったり、おっとりとした、癒される映画と言う感じでしたね。

いつも持っている唯一の身分証明書、「健康保険証」、この日めずらしく携行していず、窓口に「この次は必ず持って来てくださいよ」と強い口調で言われ、イラッ。
何年も言われなかったのに、急に提示を言い出して、ちょっとモメタのが、半年程前。
映画を観て、近くのデパートで買い物をして、休み休みだけど、それが楽しみにしている遠出だったのに、気をそがれて、暫く足が遠のきました。

(身分証明書を持っていなかったから書くような形になっているけど、私の考え方は変わっていません)
学生などの場合はともかく、映画館などのサービス業と言うか営業で、高齢者の証明書提示は必要ない、と言うのが私の考えです。本人証明と高齢者(証明)は本質的に異なるものです。プライバシーの問題は特に高齢者については慎重に考えてもらいたいと思います。
もう少し書いていたのですが、お正月初めての映画、感想だし、カットしました。

こんなことを書いて、折角のいい気分に少々水をさしてしまった・・・
気を取り直して、ネタバレなど気にしないで済む、この映画を、のんびりとご紹介しましょう。


時は江戸時代中期、1700年代前半、加賀前田藩が舞台です。
当主、前田吉徳の江戸屋敷。側室のお貞の方(夏川結衣)が病んで伏せっているところに、まだ少女の女中、春(上戸彩−成人後)が生姜の味を活かした美味しいお粥を作ってくる。
春は浅草の料理屋で育ったが、大火で家族を失い、以後お城で女中をしている。料理の腕は一番と言ってもいい。

ある日、城の余興で、包丁方の舟木伝内(西田敏行)から出された、‘鶴もどき’と言う料理の食材が何か当てる、言わばクイズに誰も答えられず、春だけが正解する。
江戸時代は鶴を食用としていたということですが、もどき料理が出されるとは、享保の時代に一時鶴食用が禁止されたという記述があり(net)、それと関係があるのか、高価だったのか。
最近、北海道の丹頂鶴の生態をテレビで見ましたが、給餌もされ、子どもの鶴を襲おうとする狐以外何の心配事もないように見える悠々たる生態でした、嘗ては乱獲で激減したと言うナレーションがありました。

舟木伝内は、料理上手の春のことをすっかり気に入り、跡取り息子、安信(高良健吾)の嫁になって欲しいと春に懇願する。
春は、自分は町人の出だし、一度結婚して出戻りの身だからと固辞するが、伝内はそんなことは構わないと結婚話をすすめる。

長男が流行り病で病死し、次男の安信が包丁方を継ぐことになったが、料理には全く関心がなく、春が指導することを望んでいたのだ。
お貞の方の勧めもあり、春は、はるばる、加賀前田藩の舟木家に嫁入りをする。
安信は、年下でもあり、春にも結婚にも料理にも関心がなく、親友の今井定之進(柄本佑)と剣術の稽古に励んでばかりいるが、姑の満(余貴美子)は、ものわかりのいい性格で、春のよき理解者になる。

親戚縁者に、包丁方としての料理の腕を披露する宴席で、安信の料理は散々の不評である。これは大変と、春は、汁物を作り直し、それは非常な好評を得る。
勝手に手を加えたことに安信は怒って、春を責める。
春も怒って、鯛料理の腕比べを申し入れ、もし春が勝ったら、安信は春に料理を習うという条件を出す。

結果は当然春の圧勝。春の指導を受け、安信は料理の腕を上げる。
それを喜びながら、春は、大切にしまわれていた簪を見つけたことから、安信が定之進の美しい妻、佐代(成海璃子)と愛し合っていたことを知る。
舟木家は長男が継ぎ、安信は佐代と養子縁組をして、武家の家に入ることになっていたのだ。

一方前田藩では、加賀前田お家騒動などと呼ばれる勢力争いが、藩主、吉徳の死と共に、改革派と呼ばれた大槻伝蔵(緒形直人)と反対派の前田土佐之守直躬(鹿賀丈史)の間に起き、大槻派の安信は、定之進らと共に闘いたかったが、包丁方には叶わないことで、臍をかむ。
大槻派は敗れ、累は春を寵愛したお貞の方にも及ぶ。

伝内が江戸から加賀へ戻り、隠居して、家督を安信に譲ることを決めていたが、安信は尚も定之進らの土佐之守を討つ計画に加わることを諦めず、刀を研ぎ、死を決意する。
春は、刀を持ち出して、安信を行かせまいとする。安信は激怒する。春を討とうとさえする。

その時伝内が病で倒れる。
主君を始めとする多くの重臣を招く饗応料理の日が迫っていた。伝内は、安信に、春と二人で、能登半島を巡って、食材を手に入れるように命じる。
安信はまだ春を許していなかったが、能登を巡り、食材を探す中、次第に心がほぐれて行く。

安信が包丁方の長として、古式に従い、腕を振るう、饗応料理の宴の日、一の膳から、七の膳まで、最高の料理が次々と供される。


何と言っても、江戸中期の加賀前田藩の、江戸屋敷と金沢の料理が次々に見られることが一番の魅力です。
藩主や重臣に出される伝統的な料理だけでなく、主役の春の料理上手は、浅草の料理屋と言う、町人の食文化により培われたものが基礎になっている、その面白さもあります。
残念ながら、見終った後でレシピを覚えているものが殆どないのですが。

最後の饗応料理も、もう少しゆっくり、じっくり一つ一つ見てみたいと思いました。
能登半島を食材探しに歩くなどと言う場面も実際に食に費やす方法や手間、努力が具体的に語られていたのだと思います。

昔ウチに、江戸時代の豆腐料理について書いた古い本があったことを記憶していますが、家康が鯛の天麩羅に当たったなどと言う簡単な故事は知っていても、具体的な料理については殆ど知らない、と言うか、そんな驚く程美味しいお料理などなかったのだろうと漠然と考えていたように思います。
テレビをつけたら、一瞬一見豪華な料理膳が出て、「光秀の料理」とありました。番組紹介だったのかも知れませんが、そう言えば、光秀は、誰に用意した料理だったか(家康と家族より声あり)、もてなす相手に相応しくない、贅沢過ぎる、と織田信長に叱責されたエピソードがあったと思うので、戦国時代も、武士は献立に拘っていたということのようです。

料理については、タップリ描かれたと思うのですが、同時代の加賀前田お家騒動の顛末については、描き足りないと言うか、ストーリーから浮いていたと言うか、実際には結構ドロドロしたものだったようなのに、サーッと触れた、とりあえず大槻伝蔵、前田土佐之守共に登場して、通り一遍の事情を述べた、かなり深く関わったとされるお貞の方についても、まるでお咎め殆どなしという感じで、当時の前田藩の事情をごく表面しか語っていない、従って、後半で保信や定之進らが、土佐之守を討とうとするあたりも、心情より前に事情を理解できない観があります。
あくまで武士の献立中心ということで、と言って、当時の加賀藩の事情を無視するわけにもいかないし、というところでしょうか。
でも私もとにかく献立とお料理ばかり見ていたので、特に気にしたわけでもないのですが。

大人になったお春が初めて登場した時、一瞬誰か分かりませんでした。
実は、この映画、見たいと思っていたのですが、演じる俳優が誰なのか知りませんでした。他のことで映画に気が廻らなかったからです。
上戸彩。女中とは言え、お城務めの身、随分気楽な、と言うか、緊張を解いた風で登場したように思えました。
商家、それも料理屋出身、そんな出自を滲ませ、料理で大活躍するためには、身軽で動きがよくて、どんなシーンもこなす、余裕や奥行きを持つ感じ、新婚なのに、夫から古狸呼ばわりをされても一向にこたえない、受け流す、実に様々な対応やシーンを無理なく演じ切って、大役を果たしたと思います。そのために自然体で登場したのでしょう。

安信役の高良健吾は、時代劇初めてとありましたが、武士姿が似合っています。
ずーっと料理嫌いで、剣術好き、最後の饗応料理の格式に則った裁き方も包丁が太刀に見える所作ですから、最後までバリバリの武士と言う感じでしたね。

脇役も達者でしたが、所作とか台詞回しが現代風と言うか、全体的に現代の料理に繋がることも多かったことが関係あるのかも知れません。
セリフは非常に明晰、よく聞き取れた。日本映画、特に時代劇はセリフが聞き取りにくい時がよくあると指摘して来ましたが、この映画に限って、全てクリアでした。

全く関係ないことをちょっと書きますが、テレビで古い時代劇を放送する時、セリフが非常に聞き取りにくい。私ではなく、若い者が、見たいと思ったけど、セリフが全然分からないから見るのを諦めると言っていました。字幕もつけられないし、どういうつもりなのかと思います。

結構細かいところまで丁寧に撮っていたので、若干冗長な感じがしないでもなかったのですが、お料理の映画、というだけで、次は何、作り方はどう、と興味が湧いて、退屈することはありませんでしたが、料理に興味がないと、どうでしょうか、近くの方で、居眠りで前のめりに倒れた方がいました。
ラストも自然で、ほんわかした気分になったし、私は、この映画、好きですね、沈み込んでいた気分が癒されました。  《清水町ハナ》

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