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zoom RSS 思い出エッセイ〔470〕映画雑記帳231「【キャプテン・フィリップス】感想」

<<   作成日時 : 2013/12/18 14:26   >>

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 【キャプテン・フィリップス】(トム・ハンクス、キャサリン・キーナー、バーカッド・アブディ、バーカッド・アブディラマン、監督:ポール・グリーングラス)。

海賊と言えば、私の子供の頃は、怪しげな船が近づいて来たかと思うと、スルスルと髑髏マークの旗が上がる、例えば『宝島』、現代の海賊は、ジョニー・デップのジャック・スパロウ、今も昔も海賊は実在したけど、おはなしや映画の中の方が、存在感があった感じでした。

それが本当に現代も現代、1990年代から始まり、2000年代に入ると益々多くなった、ソマリア海賊問題とも呼ばれる、主にアフリカ、ソマリア周辺海域で、海賊行為が多発するようになりました。

装備の整った、性能が高い、大型船が、おそらく小さな舟で現れる海賊にどうして乗っ取られたり、身代金を奪われたりするのだろう、と、海賊行為が成功?することに信じられない思いを持ちながらも、昔とは違う意味で、日常生活とは関係ない、或いは海運ビジネスでの、実際の、ある種の戦闘行為と言う、捉え方をしていました。
関心があるとか、ないとか、ではなく、とにかくフィクションとは関係ない、ニュース、精々(と言う表現は適切ではないかも知れませんが)ドキュメント、それ以外のものではないと思っていました。この見方は今でも変わっていません。

予告編が地味でしたね。
海賊は、こんな小さな舟で、少人数、しかし武装をして、これ程素早い動きで、巨大な船の、あらゆる抵抗を振り切って、乗り込む、その場面だけ紹介されていました。
その後、どうなるか、大体想像がついてしまう、そういう思いを持ち、内容への期待に繋がらなかった。トム・ハンクスの映画、と言うことになるのだろうとも思いました。

あれこれ書かず、まだご覧になっていない方で、私と同じように、内容は想像がつくと考えて、見るか見ないか迷っている方に、非常に面白かった、お勧めです、と、まず書きたいと思います。


リチャード・フィリップス(トム・ハンクス)は、コンテナ船、マークス・アラバマ号の船長である。
今回の任務は、アフリカのオマーンからケニアに援助物資を輸送することである。

妻(キャサリン・キーナー)とは、仲がいいが、二人とも中年となって、少し疲れも感じているし、息子があまり勉強しないのも気になる。

しかし、仕事場である、オマーンの港につくと、フィリップスは、船長の顔になり、積荷のチェックなど、次々と仕事をすすめる。
(トム・ハンクスが、キリストのように痩せ細って、現代のロビンソー・クルーソーを演じた、【キャスト・アウェイ】も、勤務先は運送会社でした。冒頭の場面で、大勢の部下に、テキパキと指示を与える姿が、本当に役に馴染んでいる感じで、好感を持ったことを思い出しました)
オマーンからケニアへの航路は、所謂ソマリア海賊が最も多く出没する海域だった。

同じ頃、ソマリアでは、海賊のメンバーの選出が行われているところだった。
海賊行為にいささかの疑問も感じていない、ソマリアにとっての正義とも考えているらしい、若者達が、激しい調子で、次の「仕事」について言い合っている様、身体能力が高く、頭も切れる、ただ「ソマリア海賊」とだけ呼ばれ、実態が分からなかった者には、彼らの姿や激しい考え方とソマリアの国内事情を合わせ考えると、ソマリア海賊が並みでない強敵であることを最初にある種の情報として知らされる場面とも言えます。

出港したマークス・アラバマ号。
20人の乗組員は、朝食の後もダラダラとコーヒーを飲んでいたり、注意されても、そんなことをする給料をもらっていないと口に出すなど、たるんでいる。

フィリップスは、海賊行為の多発する海域であることを考えて、予告なしの緊急時訓練を行う。
訓練の最中、猛スピードで向かってくる2隻の小舟がレーダーに映る。
進行方向を変えてみても、追尾して来る。海賊に間違いない。
「これは訓練ではない。本番だ」フィリップスの緊迫した声が船中に流れる。

昔の海賊船のイメージとは程遠い、一見古い大型のボートだが、あっと言う間に距離を詰めて来る高速であり、本格的な銃器を持っている。

進路をジグザグに変えたり、大波を起こしたり、逃れるために、フィリップス船長は、あらゆる手段をとる。
ドバイの英国海運関係当局に連絡をとり、船長自身が、すぐ救助に向かうと言う返事を拡声器で流し、それを聞いて、海賊達は一旦は動きを止め、一隻はトラブルで脱落するが、もう一隻は、再びソマリアの沿岸警備隊と称して、近づいて来る。

フィリップスは、激しい放水で応戦する。
しかし、海賊は、一箇所の未放水の場所に潜り込み、あっと言う間に梯子をかける。ごく細い梯子で、縄梯子には見えず、軽く扱いやすいものに見え、折り畳み式なのか、船に関することについて何も知らないので、興味を持つだけで、これと言えないのが、残念です。

巨象と蟻位の違いがあるのに、梯子をかけた海賊は、発砲もして来て、海賊は、マークス・アラバマ号に上がり、フィリップスに銃を突きつけ、制圧の第一歩をかちとる。
乗組員は機関室に立てこもるように命令を下しており、数人の上級船員だけで海賊に対応することになる。

積荷の殆どがアフリカへの援助物資であり、ソマリア向けのものもあると、アピールするが、海賊達は何の関心も示さない。
金庫にある3万ドルでどうだ、とも持ちかけるが、そんなはした金、と言い、自分達が要求するのは1000万ドル、と言う数字だったと思います。

たった4人で、ごく小さな漁船と言う感じの、粗末な小舟で乗りつけて、普通の?身代金でもあまり聞いたことのない巨額の金を要求する、これは大変なことと今更ながらに海賊問題の深刻さを実感しました。

海賊のサブ・リーダーだが、事実上のリーダーとも言えるムセ(バーカッド・アブディ)が英語も話せ、海賊側の主役という感じですが、繰り返し、船員を傷つけるつもりはない、自分達はアルカイダじゃないと言い、並みの?海賊ならここで銃を撃っているだろう、暴力を振るっているだろう、というところでも、冷静に振舞い、理屈でもフィリップス達に負けていないところが、妙におかしいのに、真実味があります。
しかしそれだけ海賊として能力がある?フィリップスにとっての、延々たる修羅場を修羅場たらしめている、判断力や持続力、交渉力(などと書くと、海賊を褒めているようで気が引けますが)があるということにもなります。

一人が裸足であることを、機関室にこもっている乗組員達が知り、いよいよ機関室に踏み込まれた時、ガラスの破片を撒いて、怪我をさせる。このことで険悪な空気に一変するが、海賊の一人を捕らえることに成功し、立場は逆転する。
金庫の3万ドルを持って、海賊達は、救難艇で立ち去ることに同意する。
しかし難を逃れたと思った瞬間、フィリップスが人質として捉われ、彼らと狭い救命艇の中で、大海を漂う破目となる。

その頃には、アメリカ海軍にも、事件が伝わり、大統領の救助命令も下って、米駆逐艦が現場に急行し、海軍特殊部隊、NAVY SEALsも出動する。
それまでは、フィリップスが中心になって、海賊と対応していたのが、新たな展開、米軍艦、及び特殊部隊と、フィリップスを人質にとった海賊との、全く趣きの異なる交渉、シーンが展開するわけで、観客を飽きさせない、新たな展開で惹きつける、映画作りのうまさといったものも感じました。

広いコンテナ船から、ごく狭い救命艇へ、相手が軍艦では、交渉の仕方も分からない、フィリップスも危険な目に度々遭うようになる。

実話、更には当事者の船長が書いた原作に拠っているので、当然、フィリップスは助かることは分かっているわけですが、助け出されたフィリップスこと、トム・ハンクスは、本当に消耗しているように見えました。相当厳しい撮影だったのでしょう。
しかし、この主役はトム・ハンクスを置いて、ない、名演、と言うより、好演、力演でした。
海賊達を演じた俳優も、海賊の経験があるのではないかと思う程、演技とは思えないような、海賊の立ち居振る舞い?が板についていて、その身のこなし、俊敏さ、全て海賊として合格でしたが、当然ながら、ソマリア系であっても、本国とは関係ない、全員、アメリカと英国のソマリア・コミュニティに住んでいる、俳優経験のない人からオーディションで選ばれたとのこと。何と泳げない人もいたそうです。

実際の船長もフィリップスと言う名前で、原作に忠実に映画化したものの、船内での出来事などでは、原作にないエピソード、シーンもある、と言う監督の言葉をどこかで読みましたが、フィリップス船長が家を出て、妻に送られて、オマーンの港に着き、米軍艦に瀕死の状態で救われるまで、緻密なシーンの積み重ねの全部を、つまり一人の目では見られない全容を、飽きることは一度もなく、見る、と言うより経験することができます。

テーマの一つをアクションにするか、サスペンスにするか、まだ決まっていないほど、エンターテインメントの要素もタップリあると思いました。
少々褒め過ぎの感じもして来ましたが、こういう映画をもう一度見られることはないと思います。

そして、実は、こんなことを書くと、マイナス要素にもなるような気がしますが、海賊問題は、今後も一層深刻な事態が起こり得るという警告にもなっていると思います。
現代の海賊船と海賊達のありのままの姿と言ってもいい、実像、と言うより周囲の状況や事情も含めて、実例を提示していると言えるかも知れません。大型船だけではなく、一般の漁船にも役立つ情報となり得るのではないでしょうか。

私も、これによって、海賊問題を考え直す機会を得ましたが、やはり映画として楽しんだということが一番に挙げられます。こういう映画を見て、スカーッとしたいと言う個人的な事情と言うより状況もあったのですが。  《清水町ハナ》

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海賊に襲われたら・・・
3日のことですが、映画「キャプテン・フィリップス」を鑑賞しました。 ...続きを見る
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