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zoom RSS 思い出エッセイ〔462〕映画雑記帳226「【そして父になる】感想」

<<   作成日時 : 2013/10/03 06:55   >>

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 【そして父になる】(福山雅治、尾野真千子、真木よう子、リリー・フランキー、二宮慶多、黄升R、田中哲司、国村隼、井浦新、樹木希林、風吹ジュン、夏八木勲、監督:是枝裕和)。

混むのではと思って、早めにチケットを買って、簡単な昼食をとったり、二三の用事を済ませて戻ってみると、案の定、番号順の呼び込みを待つお客がいっぱい。初回が終わって出て来た人も、この映画館で、私は初めて見る多さでした。
映画そのものだけでなく、福山雅治が普通のお父さんを演じるということも話題になっているのだと思われます。


野々宮良多(福山雅治)は、大手の会社でバリバリ仕事をし、高級マンションで、妻みどり(尾野真千子)と息子、慶多(二宮慶多)と、何の問題もない、恵まれた日々を送っている。慶多はお受験の準備に忙しい。

慶多は、みどりの実家のある群馬の病院で生まれたが、ある日、その病院から、誕生時他の子供と取り違えたという連絡が来る。
茫然としながらも、DNA検査をすると、慶多は、良多ともみどりとも、生物学的な親子である可能性はないという結果が出る。

みどりは、当時、取り違えられたことに気づかなかった自分を責める。
病院で、取り違えの相手、斉木雄大(リリー・フランキー)ゆかり(真木よう子)夫婦と会う。
斉木は、群馬で小さい電気屋を営んでいる。
病院側は、取り違えが起きた場合、100人が100人、実の子供を引き取るという事実を告げる。

あらためて、二家族は子供も一緒に会うが、斉木が飲食の領収書を病院宛てにし、慰謝料の話をすることに、良多は反感を抱き、大学時代からの親友の弁護士(田中哲司)に相談すると告げる。

一日だけ二人を交換して、過ごさせることにする。
斉木家は三人の子供がいるが、慶多は、父親が、子供達と一緒にお風呂に入ったり、遊んだり、オモチャの修理もしてくれる、夕食は餃子、と言う賑やかな環境を心から楽しむ。
一方、斉木の子供、琉晴(黄升R))は、静まり返った家の中、何もかもきちんとしていて、お行儀のよさが無言の中に要求される雰囲気に戸惑うばかり。
夕食は、高い肉のすき焼き。箸の使い方を良多に直される。

はっきり意味も分からず、両家を往復させられる二人の子供。
良多もみどりもどうしたらいいか、迷う。
この事態を告げていた上司(国村隼)に、それなら二人とも引き取ればいいじゃないかと軽く言われ、そうだ、そのテがあったとばかりに何も考えず、斉木夫婦に提案し、激しい反発の言葉を浴びせられる。無意識の中に絶対的な優越感を抱いていたのだ。

実の親が自分達であることを告げ、二人を交換することになる。
新しい友達、親しくなったおじさんとおばさん、と思っていたからこそ、楽しんでいたのに、斉木家の子供となると、慶多の気持ちは波立つ。
琉晴も、野々宮家の雰囲気を我慢するのも限度、ピアノで大きな音をたてたことを良多に強く怒られ、遂に、家を飛び出し、元の家に帰ってしまう。

みどりともうまくいかなくなり、良多の苦悩は深まる。


ガリレオや竜馬など、スーパーマン的な主人公を演じ、ミュージシャンとしても絶大な人気があり、自身がスーパーマンでもあるような福山雅治が、有能なビジネスマン、何一つ不足のない生活をしている、人生の成功者であることが若くして決まっているような役を演じきるのかと思ったら、本人も観客も思いもつかない、子供の取り違え事件、今迄育てて来た子は他人の子だった、と言う生活全体が揺らぐ問題に直面する。

二人とも引き取って育てればいいんだ、こんな名案、何故もっと早く思いつかなかったんだろう、とばかりに軽く提案して、相手から罵倒されて、その辺りで、自分が信じ切って来た処世、世界観にも、ヒビが入る。

大体、真に可愛がって来たけど、息子の、実は優しさが優柔不断に見える、何とか目指す学校に合格したけど、ピアノは3年もやって、全く上達しない。発表会で恥ずかしい思いをさせられる。そして忙しいから、なかなか遊びに付き合ってもやれない。

しかし、他人の子と分かって、初めてどんなに息子を愛していたか気づかされる。
仕事に驀進して上を目指すだけだった人生が大きく揺らいだ主人公を、福山がいつもの穏やかな表情を封印して、笑顔一つ見せる機会もない、苛立ちと不安と、しかし自尊心や自信も捨て切れない、つまり見ている者には、同じ表情、感情が移ってしまいそうな、それでいて、実際人間味豊かな斉木夫婦より、良多の身になって、一喜一憂しているのだから、それだけこういう役を演じても、見る者を惹きつける演技力、オーラを持っているのだと思わせられました。

子供は、自分にとっての快適な生活を、自分の子供人生にとって、最も好ましいと思いがちです(全ての子供がとは言いませんが)。オモチャいっぱい、親がいつも遊び相手になってくれる、自分の時間を好きに使えることを優先する子もいるでしょう。極端な例だと、何でも買ってくれる、お小遣いをいくらでもくれる、と言うような・・・そこが子供なのです。
だからと言って、子供は日々成長し、行動も考え方も変わって行く。親として、その年齢に必要な躾もしなければならないし、物は好きなだけ得られるものではないと教えることも必要。特に父親はいつも子供の遊び相手になってくれる程暇ではない。

ザックバランで、子供への愛情は降る星の如く、と言う斉木家もお箸の使い方は教えるべきだと思うし、ゲームやオモチャだけでなく、子供の時に読む本も与えた方がいい。
頭から野々宮家の子供への接し方、育て方に反対ということは、この映画でも言っていないと思うのですが、つまり、良多の琉晴に対する接し方は、性急ではあるけど、そして、子供と一緒に、自分も子供に戻って遊ぶことも必要と後で気づくのですが、それだけではない、良多のやり方も間違ってはいないと思います。

最後まで惹き付けられて観ましたが、二三、気になる点がありました。
二人の子供にこういう事態になったことをじっくり説明、分からせる場面があってもよかったのでは。簡単にやり過ごした感じがあります。
慶多は、折角合格した学校はあっさり止めて転校したのか、ひと言説明が欲しかった。

みどりは、実家のある群馬の病院で出産したが、良多が「あんな田舎の病院で産むから〜」と言うセリフがあります。
みどりの実家を含めて、田舎と言っているのか、自分も田舎なのに、と思ってしまいましたし、病院に関しては、東京の少々不便な所より群馬の方が大きい病院があるのでは。

不自然に感じたのは、後半、裁判場面で、突然一人の看護婦が、私がやりました(赤ちゃんを故意に取り替えた)と告白する場面が出て来ることです。
みどりのことを羨ましく思い(環境とか生活?)、(出来心で)やったと言うのです。
それまで何の伏線もない、唐突としか言いようのない場面です。

みどりに、担当の看護婦にそんな犯罪を思いつかせるような、羨ましいと思わせるような雰囲気があるだろうか、どう見ても、地味で堅実な感じです。
お産だから、本来二三日の入院、他科と異なり、看護婦が患者に接する機会は多くはない筈。
実家のお母さんは樹木希林で、つつましやかな生活ぶりの一端も紹介されます。希林さんまで就いているのに取り違えに気がつかなかったのだろうか・・・

ふと気になって、調べてみました。赤ちゃんの取り違えという事件がよく報道された時期というものがあったように感じたので。

医師が書かれているブログ、『平成医新』によると、(赤ちゃん取り違えは)、「昭和40年(1965年)頃から多発」‘足の裏にマジックで名前を書いたり、木札をぶら下げたり、(色々試みられたが、それでも発生するため)、「昭和43年から新生児4人に対して看護婦一人を置くことが法律で定められた」更に、‘母親の腕と赤ちゃんの足にプラスチックのバンドがつけられ、入院中はいかなる理由があっても外すことはできない’「これ以後取り違え事件は起きていない」とあります。

取り違え事件が皆無になったかどうか、数字が挙げられているわけではありませんし、今後も全く問題ないとは言えないかも知れません。

上記を書くかどうか迷いました。
どうしてもひっかかるところであり、それと、影響の大きい映画のこと、もしかして取り違えられたら、と心配される方も結構いるかも知れません。
今は二重三重の防止策がとられているようだということを、ちょっと引用させていただきました。
この映画のメイン・テーマは、あくまで「そして父になる」ことです。

今思うと、【真夏の方程式】のガリレオ・福山は、一人で事件を解決する、それまでと違って、周囲の人と協力しながら、事に当たる、最初の中は子供嫌いだけど、次第に知り合った子供に惹かれて行く、最後はその子のために尽くす、と言う役割で、この映画の良多に繋がるような役どころでした。

主役クラスの俳優として、絶対的な?魅力があるのですから、これからも普通の人(悪い人もいいのではと思いますが)を演じる映画が見られることを期待したいと思います。  《清水町ハナ》

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映画「そして父になる」★★★★ 福山雅治、尾野真千子、真木よう子 リリー・フランキー、二宮慶多 黄升、風吹ジュン、國村隼 樹木希林、夏八木勲出演 ...続きを見る
soramove
2013/10/09 07:06

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