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zoom RSS 映画雑記帳140「【シャンハイ】感想」思い出エッセイ〔356〕

<<   作成日時 : 2011/08/24 09:36   >>

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 夏休みは、大人の映画ファンにとっては、と大きく出なくても、少なくとも私には端境期で、かなり前から楽しみにしていたのがこの映画ですが。

【シャンハイ】(渡辺謙、ジョン・キューザック、コン・リー、チョウ・ユンファ、菊地凛子、監督:ミカエル・ハフストローム)。
1941年、真珠湾攻撃直前の上海が舞台です。

租界時代の上海と聞くと、特に1930年代は、殺伐としたテロの横行もすぐ思い浮かぶものの、一方でスパイでさえ華やかな雰囲気を振りまくこともある。近衛家の御曹司と誰憚ることなく愛し合った美貌の女スパイ、鄭蘋如など。

諜報機関長(影佐機関、または梅機関)として非常にスケールが大きい、と言うのも不謹慎な言い方かも知れませんが、影佐禎昭大佐(後中将)も、これも不謹慎なことですが、子供の時読んでいた冒険スパイ小説を思い出させたりする。

この映画の(大々的な?)紹介文に渡辺謙演じる田中大佐とコン・リー演じるアンナは、鄭蘋如と影佐大佐がモデルであるとあったので、いやが上にも勝手な期待をしたわけです。

すぐバンバン撃って人を殺してしまうという印象。それと上海が非常に狭い所に思えました。
どの勢力が誰を撃っているのか、第一、人が密集している、暗ーい所で撃ちまくって、あれでは仲間や関係ない人に当たってしまうのではないか、そんな感じでした。
建物について、大がかりなセットを作ったと聞きましたけど、そのセットの中の場面が非常に多かったように思え、当時の上海が再現されているという感じが希薄でした。


簡単にプロットを書いておきます。
アメリカの諜報員、ポール・ソームズ(ジョン・キューザック)は友人のコナーと上海のカジノで会う約束をしていたが、彼は現れず、領事館へ行ってみると、コナーの遺体が置かれていた。彼の遺体は日本租界で発見されたと言う。
コナーは、上海の裏社会の大物で、日本の取引相手である、アンソニー・ランティン(チョウ・ユンファ)の動向を探っていた。

ポールは、新聞記者を装って、アンソニーに近づくが、彼の妻、アンナ(コン・リー)はカジノで会った美女だった。アンナは父親を日本に殺され、アンソニーの妻という隠れ蓑を得て、レジスタンス活動をしている。

ポールは、アンソニーからタナカ大佐(渡辺謙)を紹介される。
こうやってプロットを書こうとしても、一新聞記者が偶然会ったばかりの上海マフィアの大物にどうして簡単に日本の諜報機関のトップを紹介してもらえるのか(勿論そういう意外な出会いを重ねることで、映画のプロットも出来上がって行くという面もあるかと思いますが)。
またポール自身、親友の死の真相を突き止めようと言うのに、アンナにひと目惚れしたようであり、そうかと思うと、ドイツ領事館の旧知のスタッフの夫人とも情を交わしたり・・・一体どういう方向なのかと戸惑ってしまいました。

プロット自体が混沌としていると言うか、流れていると言うか・・・そこが当時の上海らしいと思ってもみるのですが。

とにかく大佐という階級は同じでも、そして渡辺謙は抜群の存在感を持って登場しますが、タナカが、影佐禎昭大佐がモデルとは考えにくい、考えられない。大物諜報機関の長がタナカのようなザツな動き方をする、厳しいようで実は誰にでも気を許しているように見える、そんなことはあり得ない。

TVで渡辺謙さんは、タナカ大佐を忠実に演じるために、海軍大佐だから(因みに影佐大佐は陸軍です)、留学先は英国だろうということで、キングス・イングリッシュを学び直したと語っていました。繰り返しますが、本当に並みでない存在感です。モッタイナイ。
それに対して、主役のポールは、新聞記者を装っていても、辣腕の諜報員のはずなのに、頼りなげで、演技も曖昧で、何をやろうとしているのか分からない。魅力もない。

そして、コン・リーのアンナ。マフィアのボスの妻は似合っているし、中国美人であるけど、容貌も、この映画の役どころも鄭蘋如を彷彿とさせるものは全くないと言っても過言ではないと思います。

どうして鄭蘋如・影佐禎昭大佐と実在の人の名前をはっきり挙げて、この二人がモデルの人物が登場するなどと紹介文を書いたのかしら。

当時の背景、各国の租界などについて一応の説明はあるけど、映画を見ている中にどの勢力が何をしているのか分からなくなってしまう(私だけかも知れませんが)。眠くなりました。
終盤の「今頃日本軍はパールハーバーを攻撃している」という決め台詞の重み、意外性がどれ程伝わったか。

渡辺謙さんが一人で宣伝に奮闘している観があります。宣伝だけでなく、渡辺謙でもっている映画という面さえあります。だから、少しでも応援しないと・・・
筋立てはいささか形骸化している観があるけど、当時の上海、特に開戦間近の時期は、まさしくこの映画のような暗い、テロの絶えない、閉塞感ばかりの雰囲気が最も現実感があったのではないかとも思います。場面、場面で、当時の華やかな雰囲気が感じられるのもお勧めどころです。

私も1930年代の上海が、イコール美貌の女スパイ、中国の地下の犯罪組織と結んで、阿片流通ルートまで押えた諜報機関、テロ、陰謀が渦巻く退廃都市・・・そう言ったものばかりを連想するものではありません。
ただ情報を信じて、登場人物はこの人達と決めて、堪能できる、上質のエンターテインメントを期待してしまったというところでしょうか。ちょっと考えてみれば(考えなくても)誰が主人公でも、映画の出来とは関係ないわけです。
タイトルの「シャンハイ」というカタカナ書きもピンと来なかったのですが。
映画の紹介よりムダバナシが多くなりました。

大震災直後は、映画はどうなってしまうのかという雰囲気でした。今思ったより順調に観客が戻っているように感じます。ちょっといい映画はあるけど、ほんとにいい映画だった、堪能した、という作品は少ない。近場の気楽な娯楽でもあるわけですから(遠方に行きたくない、行かれないという人も多いと思います)、頑張って、いい映画をつくって頂きたいし、洋画もいいものを見たいと思います。  《清水町ハナ》

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映画「シャンハイ」キャスト、舞台は申し分なし、でも何かが決定的に足りない
「シャンハイ」★★★ ジョン・キューザック、コン・リー、 チョウ・ユンファ、渡辺謙、菊地凛子出演 ...続きを見る
soramove
2011/08/24 21:36

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